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堤防に座ってバーチャルタッチパネルを操作していたプオラギイックは、自分の前に出来た人影に顔を上げた。 <よっ。> |
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| 光が溢れ、風と共に爆発音が発生し、周囲に粉塵を巻き起こす。 <…> 両目をつぶっていたシユマは手で鼻の前の粉塵を軽く払うと、眩しげに目を細めて周囲を見た。 <…っ!> シユマは目の前の人影を認めると瞬時に表情を引き締め、服のポケットからイハッジャを取り出し目の前に構えた。 <大丈夫よ。…と思うわ、一応。> <…> 懐中電灯のみが明かりとなっている薄暗い廃工場の中、プオラギイックに向かってイハッジャを構えている状態のシユマは目だけ動かしてリジュワナの方を見た。 <彼は…プオラギイックプロジェクト長だよね、確か。> <お、よく知っているな。肩書きまできっちりと。> <…説明してもらえる?> リジュワナに目を向けたままシユマが尋ねる。 <肩書きを知っている位なら分かっているだろうが、俺は一応こいつらの保護役だからな。怪しい宇宙人からこいつらの身を守ってやるのも仕事の一貫だ。> <…自己矛盾してるんじゃん? それだったら、まずあんた自身が彼女達から離れないといけないでしょうに。> <俺は怪しさなんかこれっぽっちも持ち合わせていないぞ。> <…自慢気に言う事でもないと思うんですが…> アリーザがリジュワナに向けて小さく念じる。眉だけ上げて答えるリジュワナ。 <少なくとも、許しの心はそれなりに持っているつもりだからな。俺は丸腰だろ? そっちも対話の姿勢を見せてもらいたいね。> <あんたの場合イハッジャ持ってたって大して魔法使えないんじゃん。> <お前は取りあえず黙ってろ。> 隣の宏子を睨むプオラギイック。 リジュワナが手を軽く上げながらシユマに近づいた。 <…ごめんなさい。私は彼に教えるつもりはなかったんだけど、残念ながら情報が漏れてしまって。ただ彼が主張するには、例の船での洗脳の話等は聞いた事も無いから、もし事実であれば彼も詳しく知りたいそうよ。だから、今日は私達の協力者として来てもらってるの。…今日はね。> <…> リジュワナとプオラギイックは無言で視線を交わす。 <…そ。まあ、リジュワナがそう言うなら、今日の所は信用しておく事にするけど。> シユマは渋々といった顔で、イハッジャを白い服の大口のポケットにすりこませた。 <それにしても、この前渡した非常連絡用の回線をこんなにすぐに使われるとは思ってなかったけどね。星からトンボ返りでまた貨物船暮らしだったよ。> <迷惑をかけて申し訳無いんですが…どうしても例の船に乗り込みたいという方が出てきまして。> <うん、まあそれ自体は私達も考えてたんだけどね。> シユマはアリーザに頷きながら、近くのスタンドの明かりをつけ、隅のテーブルにかけられているシートを引く。中からは、この前リジュワナを宇宙船へと送った大型の魔力増幅装置が姿を現した。 <私達の方で知ってるのは、あの船…フィクバ・モ・ブンティブでは、選ばれた地球の子供達に強力な洗脳教育を施しているっていう事、で、あの船が、魔法協会の本当の対地球対策本部だって事。> <…それじゃあ、セジュ・クフィは…> <あんた達はお飾りだね。不思議に思わなかった? クザラル人が初めて出会った「同朋」と呼べる宇宙人への大使チームがたかだか二、三人で、しかも誰も大した魔術師でもなく、予算も本当に微々たるものだったって事にさ。> <…> プオラギイックはシユマの念に腕組みして考え込んだ。 <…仮にそうだとして、何で、わざわざ「お飾り」の大使なんか作ったんだ? 「本物」の対地球プロジェクトは何をしようとしている?> <さあ、何か地球人には知られたくない事をしてるんじゃない? どっかから子供を持ってきて「教育」をしているのは当然その一つだろうけど。…他に何をしてるのかは、私達も今、とても知りたいと思っている所なんだけどね。> シユマは透明な球状の増幅装置の埃を軽く払うと、改めて、彼女の前を見回した。 <…にしても、ここの情報の「漏れ」方も半端じゃないねえ。> 四人の魔法少女と一人のクザラル人を前に呆れた念を漏らすシユマ。 <…こんなつもりじゃなかったんだけど、情報管理が甘かったわ。> <系の魔法を使えなかったの?> <…> リジュワナは、どこか得意気な表情の宏子と目を合わせる。 <…今回ほど、自分の魔術の未熟さ加減を呪った事は無かったわ。> リジュワナは肩を上げて念じた。 <…大体、状況の想像はついたよ。> <まあ、情報が漏れて悪い事ばかりじゃない。> 腕組みしたシユマは、念を発するプオラギイックの方に目を向ける。 <俺は確かに魔術師としては三流かもしれないが、魔法協会の船のコントロールシステムなら、多少は知識があるからな。> <それは大変頼もしい話だけど、あなた、今までフィクバ・モ・ブンティブっていう船の存在すら知らなかったんでしょ?> <う…そ、それはそうだが、HYIの宇宙船だったら、船内内部のシステムにそうセジュ・クフィと差は無いはずだろ。少なくともHNKの人間よりは分かってる事は多いと思うぞ。> <…> シユマは値踏みするようにプオラギイックの顔を見た。 <…まあ、そうかもしれないけど。具体的に何か情報がある?> <まずこれが、船内のコンピューターにハッキング可能なカードだ。> プオラギイックは服からカード基盤を取り出してみせる。 <出来るの?> <あ、ああ。多分な。これの働きは、ええと…> プオラギイックは、横で黙って立っている魔法少女の顔を見た。彼女はプオラギイックに気付かない様子で、うつむきながらじっと佇んでいる。 <ええと…モニク?> <え? あ、うん。ええと…何?> <この、カード…> <あ、ああ、うん。> モニクは慌てて頷きながら、カードを手に取った。 <ええと、プオ…ラギイックさんからセジュ・クフィのコンピューターにアクセスさせてもらって、プログラムパターンを研究させてもらいました。知らないプログラミング言語なので試行錯誤しながらですけど、90%以上の確率で有効な偽IDを通させるプログラムを製作しました。> <そう…っていう事は、作ったのはあなただって事?> <ええ。多分基本的に、地球の高ガードなコンピューターネットワークよりもクザラルの物の方がハッキングは簡単みたいです。> モニクはシユマに頷く。 <へえ…i-Modeとかの方がガードが堅いんだ。> <…ええっと…それは多分凄く間違いがある気がするよ、ひーこちゃん。> 感心したように念じる宏子に苦笑いを返すモニク。 <そうなん? でもモニク、今さっき、何かぼーっとしてたけど、大丈夫?> モニクは宏子の念に一瞬まばたきをした。 <え? う、うん、別に、大丈夫だよ。ただ、ちょっとその…まだ、本当にクザラルの人がそんな事をしているのかっていうのが信じられなくて。> モニクは視線を落とす。 <…私達がフェヨールさん達にこの事を知らせていなかったのは、そういう風にショックを受けて欲しくなかったからなんです。> |
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シュウウウウウウウン…。
宏子はリジュワナを横切り、ドアの前に立つ。 リジュワナは振り返り、子供達の方向へイハッジャを構えた。 <ちょ…> |
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−ったく…何、あの馬鹿? 前からキツい所あるとは思っていたけど、あそこまでの冷血女とは想像を絶するね!
−あ、私ら?
−…な、何、これ…
−…な…な……って…う、そ…って…これ… 続く |
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<食らえ、マジカル・フラワーシャイニーング!> |