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A-Sato Ltashofe Yde Ilne

Episode 12: Gifted people (parting)

制服姿の宏子はフェンスに手をかけ、眼下の景色を見下ろしていた。
「…」
初夏の風が宏子の前髪を揺らす。気持ち良さそうに目を閉じ、宏子は息をついた。
チャンチャンチャッチャ、チャンチャンチャン…。
「…」
宏子はやや不愉快そうに目を開くと、携帯電話を鞄から取り出して開く。
「…もしもし?」
「また自殺でもするつもり?」
「…リジュワナ? その声はリジュワナでしょ。翻訳のと声がごちゃごちゃなって、混乱するんだよね。日本語で喋ってくんない?」
<…そんな事言ったって出来る事と出来ない事があるわよ。>
宏子は背後からの念に振り返った。
「…」
「元気。」
リジュワナが数メートル向こうの公衆電話の前に立ち、こちらに向かって手を振っていた。
<…何やってんの。>
宏子は怒った顔を作りながらも、やや微笑んで自分の眉を掻いた。

電話を切ったリジュワナはテレホンカードをしまうと、子供達の遊ぶベンチが並んでいる横を通り過ぎ、宏子の立っている場所、屋上のフェンス脇にまでやってくる。
<…初めて来たけど、良い景色ね。>
一部夕陽に染まり、一部はまだ青い空の下の住宅街の景色が、金色と水色のせめぎあいとなってフェンス向こうに広がっている。
<…そう? そんなに綺麗な景色にゃ見えんけど。>
<ダッカなんかに比べれば遥かに綺麗よ。一度来てみれば分かると思うけど。>
<…>
<でもまあ、そうね。ここも景色としては、絵画的に美しいとまでは言えないのかもしれないわ。…それでも、そこに住む人にとっては良い景色なんだと思う。>
<…>
フェンスに背を向けている格好の宏子は、リジュワナをしばらく横目で眺め、そして視線を外した。
<…まあ、知ってるだろうけど。ここなんだよね。姉貴が死んだ場所って。>
<らしいわね。…辛くないの?>
宏子はゆっくりと、フェンスに背中を付けたまま地面に腰を降ろす。
<泣きたい…くらい辛いんだけど…今は色んな事がありすぎて、何だか整理がつかない…。ついこの間の事のはずなのに、もう随分、すっごく、前の事に思えて…姉貴が死んだのも、逆にあんた達がこっちに来たのも。>
<そうね…急に言葉の通じない異教徒の国に連れてこられて、こっちで暮らせとか言われて、迷惑といえばこれ以上ない位迷惑だったけど…>
<…何よ、「けど」?>
<けど、…もう、私にもこの景色が良い景色に見えるのよね。>
<…>
<…>
立ってデパート屋上からの景色を眺めるリジュワナと、その横で反対方向を向いたまま座っている宏子が、黙ったまま佇んでいる。
<これから…そうそう会えなくなるのかな。>
<あなたはまずプオラギイックとの事を心配しなさいよ。>
<…そうかな。>
リジュワナの念に、思わず宏子は頬を緩める。
<そうよ。>
<…皆、自分の国に戻るのかな。そうすれば、日本、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、って大体散らばるじゃん。>
<日本もアジアよ。…まあ、そうね。小英はまだ弱いから誰かと一緒になるらしいけど、いずれにしろそれでうまく散らばるわよね。…アフリカ辺りが足りないかしら。>
<…でもさあ。>
宏子は立ち上がる。
<姉貴を殺したような連中とさ、今度からは皆、一人一人でやり合わないといけないんだよね。サクコブじゃなくて、クザラル人ね。…他の子供達は皆、あそこの船の子供達みたく全然クザラル人の言いなりでさ、それぞれの場所で、私達一人一人だけが何か違う、ってずっと思い続けるの。>
<クザラル人も下手よね。どうして私達を最初から洗脳しなかったのかしら。>
<さあ…まさかここまで私らが…っていうか、あんたとアリーザが、性格曲がってるとは思ってなかったんじゃないの?>
<失礼ね。特にアリーザと一緒にされるっていうのは屈辱だわ。>
リジュワナは軽く笑いながら肩を上げる。
<…でも別に、それだけが選択肢じゃないじゃない。>
<へ、何が?>
リジュワナの顔を見る宏子。
<これからよ。皆がバラバラになるのが嫌だったら、私達で一緒にいれば良いのよ。友情云々は私が言う言葉じゃないかもしれないけど、例えばそっちの方が、生き残る確率が高い、と思うならそうすれば良いわ。>
<言うのは簡単だけど…ジュチャ、ってか魔法協会の提案無視するの?>
<お姉さんを殺した連中の言う事いつまでも聞いててもしょうがないでしょ。聞いたばっかりに今度はダッカの私の家族が死にました、とかじゃ笑えないわ。少なくとも私は。>
宏子は難しい顔つきで、フェンスの向こうを眺める。
<そりゃ、そうだけど…私だって魔法協会は許せないけど、でも、クザラル人と敵で、サクコブとも敵で、…それこそどうやって地球人は生き延びるの? 一番魔力があるので私達5人なんだよ、それに、魔術師候補生、だっけ?を足しても二十何人なんでしょ。それだけで対抗なんか、絶対出来ないよ。>
<まあ、そうね…多分普通の兵器なら、それなりに対抗も出来るのかもしれないけど、こと魔力に関してはね。今、魔力を持つ地球人が何人か出てきたばかりの状態で、どう対抗出来るのかって聞かれると、確かに私も答えられないわ。>
<じゃあ…>
<でも、>
リジュワナはいつもの表情で宏子を見る。
<何もしないで死ぬよりは、最後まで私はあがきたいわ。仮にそれが見苦しくても。何とかしてクザラル人やサクコブの鼻をあかして地球を…いいえ、私を、守りたい。それでも駄目だったら…その時は神の意思だと思って諦めるけど、それまでは何としてでも私は生き続けるわよ。>
<…あんたは強いね。>
<…私から見ればあなたの方が強いわよ。…理由は、言わないでおくけど。>
<…何それ。>
<…。体力的に凶暴でしょ。>
<…>
リジュワナを横目で見る宏子。ニ人は軽く笑いあった。

リジュワナは乱れる前髪を手でおさえながら念じた。
<そういえば、この前サクコブ生命体と遭遇したわよね。>
<ん? うん。でも、さっさと逃げられた。>
<最近そういうパターンが多いわね。これまでの例からすると、たぶんまたすぐに現れるわよ。…何かその生命体に特徴はあった?>
<別に…攻撃は…何だろうな、攻撃弾は挨拶程度で、後は…系の魔法みたいのがちょっと来たけど。>
<系の魔法?>
<うん。頭に、キーンとくるような…>
<テレパシーの一種という事かしら。…宏子?>
<…>
宏子はリジュワナに顔を向け、無言で首を前に向けるようジェスチャーした。
<え…? …あら、呼ばれたと思ったのかしら。>
ニ人の前にサクコブ生命体が浮いている。屋上にいた子供達やその母親等は、全員悲鳴をあげて屋内へと逃げ込んでいた。


ニ人は鞄からイハッジャを取り出し鞄を近くへ投げる。
<何かやりづらいよね、向こうが攻撃してこないとさ。>
<そう。でも、そういった感想は後で言い合わない? 私は向こうへ行くから、あなたは…そっちのレストラン方向に行って。>
<何で? …分かった分かった、ごめんなさい、今行きますから。>
リジュワナの顔つきに後ずさる宏子。
<頼むわよリーダー。じゃあ、ワン、ツー、スリー、ゴー!>
ニ人はそれぞれ反対方向に走り出した。
<フィア・ディシュ!>
走りながら振り向き、イハッジャを構える宏子。光の弾が生命体に向かうが、浮遊しているそれに軽くよけられる。
ペット売り場方向に走ったリジュワナは振り返り、生命体の様子を見る。
−防御膜を全く張っていないようね…いつでもこちらに攻撃を出来るように? それにしても、何で向こうから仕掛けてこないのかが分からないわ…。
<…フィア・ディシュ。>
シュウウウウウウウウウウン、ブシュウッ。ブシュウッ。
宏子の放つ攻撃弾とリジュワナの放つそれが、直前まで生命体のいた空中で交差する。その数十センチ上で羽をはためかせている生命体。
<…こっしゃくなああ。ザナ・キュイいいいいい>
<っ!>
念の途中で頭を押さえる宏子。同時にリジュワナも顔をしかめる。
−これが宏子の言ってた痛み? …どこかで似たような感覚が…ああ、フィクバ・モ・ブンティブのトレーニングマシーンだわ、この感覚。という事はやっぱりテレパシー…?
シュウウウウウウウウウウウンズバアアアアアアアアアアアアン!!
<え?>
生命体から、一瞬景色が揺らぐ波のようなものが発せられる。その波が自分達をも通り過ぎ消えてなくなると同時に、頭への痛みが消えた。
<…ってえ…この前よりちょっと長いじゃん。>
眉を上げつつ、宏子が手を額につけてゴネている。リジュワナはそれに少し笑いながら、生命体の方に目を向けた。
生命体は空中に浮かびながら微動だにせず静止している。
<もー頭来た。今度こそやってやる、フィア>
<ちょっと待って宏子。>
<何?>
イハッジャを構えていた宏子はリジュワナに顔を向けた。
<おかしいのよ。この生命体、全く動いていない。>
生命体の真下で数メートル上空のそれを見上げていたリジュワナが念じる。
<別に今に始まった事じゃないじゃん。羽があるっつったって、普通の鳥みたくそれで飛んでる訳じゃないんだしさ。>
リジュワナの所へ歩いていく宏子。
<…>
リジュワナは無言で、やってきた宏子の肩を叩いた。
<ん?>
リジュワナが空の別方向を指差す。
<…>
数十メートル向こうで、カラスと思われる鳥が羽を広げたまま空中で静止していた。

<あ?>
宏子は腕の端末に目をやる。モニタの表示をリジュワナに見せる宏子。
<あ、時間、止まってる。>
<ゼロ時空間?>
<うん。私らニ人でそっちに入ったんだ。…あ、じゃあ今の内にやっとこうか。フィア・ディ>
<あ、ちょっと待って>
<え?>
宏子は体は生命体に構えたまま、顔だけでリジュワナに振り向いた。
シュウウウウウウウウウン、ブシュウッ。
<あ、ああ、あああ。>
思わず口を開くリジュワナ。
シュウウウン、ボンッ。
宏子が放った大型の攻撃弾は生命体に命中、その体の後半部をおおむね飲み込む形で消滅する。綺麗に球状に体を切り取られたまま、空中に静止している生命体。
<あーあ、リジュワナが途中で止めるから中途半端に当たっちゃったじゃん。全身綺麗に飲み込ませようと思ってたのに。>
<はあ…。攻撃するのは良いけど、私達元の時空に戻れるの?>
<ああ、リジュワナはゼロ時空間初めてだから不安かもしれないけど、どうって事ないって。>
<ちょっとやってみせてよ。>
<やり方は知ってるでしょ? 時の魔法の何巻だかで…>
<知ってるけど私は成功した事が無いのよ。>
<大丈夫だって、今成功したからここにいるんじゃん。基本的な感覚は瞬間移動に近いけど、それの空を時に置きかえて念じるの、ただしかなり強くね。一応文句はウーサ・キュディヌ・ヒオ。>
<…なるほど? やってみるわよ?>
ため息をつきつつ、リジュワナが自分のイハッジャを構える。
<気律の力を、我の頭上に。ウーサ・キュディヌ・ヒオ!>
シュウウウウウウウウン…。
リジュワナの体から紫色の光が溢れ、彼女の全身を包み込む。瞬間移動の時のように、周囲に風が巻き起こる。
シュウウウウウウウンズバアアアアアアアアアアアン!
爆発音と共に、光が飛び散る。風の中で目を開くリジュワナ。
<…>
<…>
<…だから、私は不安だって言ったのよ。>
どこにも移動していないリジュワナは自分のイハッジャを軽く叩きながら、眉をひそめた。
<あ、れ…でも来れたんだから帰れるはずだけど…じゃあ私やってみるわ。ああ、もし私が元の時間に戻ったようだったら、このサクコブ綺麗にしてから戻ってきてね?>
<ちょっと待って、もしあなただけ帰って私が帰れなかったら?>
<その時は…私がお祈りしてあげるから、何とかして、頑張って。>
<…>
無言で顔を引きつらせるリジュワナ。
<じゃあ行くよ。ウーサ・キュディヌ・ヒオ!>
シュウウウウウウウウウウウウンズバアアアアアアアアアアアアアアアン!
イハッジャを持った宏子の体が光に包まれ、そして光は最大にまでその輝きを増したところで飛び散った。
<…>
<…あれ?>
片目を上げる宏子。
<お帰りなさい。>
リジュワナは先程と同じ場所に立っている宏子に念を伝えながら、ため息をついた。


<んーんんんんんーんーんー?>
ペット売り場の水槽の気泡や、逃げ惑う子供達が走っている体勢で止まっている様子などを眺めながら、宏子がうろうろと歩き回っている。
<今、私機嫌が悪いのよ。出来ればもうちょっと静かにしてくれない。>
<んーんーんーんんんーんーんんーんーんー!>
<…>
生命体の近くで腕組みして立っていたリジュワナは、余計に大ボリュームになったテレパシーに息をついて目を閉じた。
<んー。ねえ、どうすれば良いの、リジュワナあ。>
<このまま一生ゼロ時空間で暮らす。>
<…>
見詰め合うリジュワナと宏子。
<のは嫌ね。特にあなたとは。>
腕組みしたまま、リジュワナは生命体に視線を移す。
<私だって、ずっとニ人だけの世界に放っておかれたら、多分リジュワナを押し倒しちゃう事になると思うよ?>
<あなたも真面目な顔でアリーザみたいな事言わないで良いから。…どうやったら、ここから出られるのかしら…>
リジュワナに歩み寄ってきた宏子が<うーん>と唸る。
<ブエノスアイレスの時とか、本当に出られたんだけどな…>
<知ってるわ。…あ、でもその時は、あなたが自発的に入っていったのよね?>
<そうだけど…でも最初は私もそのつもりじゃなかったよ。多分、魔法を出すときに魔術の気律の引き込みを間違えたんだと思うけど。>
<ええ。でも今回はそういう事じゃなかったわ。>
リジュワナは生命体を見上げる。
<サクコブが出した、あの頭の痛くなる何か。あれで私達はこの世界に強制的に引きずり込まれたのよ。つまり、これが今回のサクコブの攻撃なの。>
<でも…>
生命体を見る宏子。
<止まったんだったら、こいつやられちゃうじゃん。>
<そうね…そこが分からないけど…まず、分かるところから整理しましょう。このサクコブが私達をゼロ時空に引き込んだのは確実。それでは何故そうしたか。>
<…閉じ込めるため?>
<でしょうね。という事は、正確にはこの時空間は普通に言う「ゼロ時空間」とは違うのかもしれないわね。だからウーサ・キュディヌ・ヒオじゃ抜けられない、と。>
<…じゃあやっぱり一緒に暮らす?>
<暮らすって何よ。…何とかして、この生命体の魔法を解かないと。>
<もう解けてても良いはずなんだけどね。一応こんななってるんだからさ。>
大きく穴の開いた生命体を指差しながら念じる宏子。
<ええ、でも魔法はあの頭が痛くなった時にかかったものだから、今の生命体をどうこうしても駄目なのかもしれない。>
<どうするの? 大体、何の魔法なのかも分からないし…>
<時の魔法…じゃないとすれば、系の魔法かしら?>
<そういったのの複合系かもしれないしね。…ううううう、分かんなかったら全然戻れねええええっ!>
頭を振っていた宏子は、ふと横のリジュワナが静かになった事に気付き顔を上げた。
<何してんの?>
<集中してるのよ。>
イハッジャを構えながら両目をつぶり、答えるリジュワナ。
<集中?>
<ええ。系の魔法ならもしかすれば解除できるかもしれないでしょ。ビャクニウ・エンティフ!>
シュウウウウウウウウンズバアアアアアアアアアアン!
紫色の光が飛び散り、突風が起きる。すぐそばで起きる光と風に目をつむる宏子。


<…>
宏子は目を開きながら息をつく。
<…ったくさ、お互いまずやる事宣言してから行動する事にしな…>
顔を上げた宏子は周囲を見回した。
<な、何、リジュワナ、ここどこ?>
<どこって…>
宏子の隣の席に座っていたリジュワナが答えた。
<教室でしょ。2年1組の。>
ニ人は夕陽の差す学校の教室の、隣り合った席に座っていた。彼女達以外に生徒はいない。
<え、あれ?>
宏子は周りを見回す。
<あ、あの…リジュ、ワナ、わ…たしたちってさっきまでゼロ時空間にいたよね?>
<…安心しなさい。一緒に暮らすって約束したのは覚えてるから。>
リジュワナは肩を上げた。

ガラガラガラ…。
戸の開く音に、ニ人は顔を上げ前を向いた。
<あ…んたは…>
呟く宏子。宏子達と同じ、北高の制服姿の日本人が教室に入ってくる。
落ち着いた柔らかな微笑みをみせているその女子生徒は、ゆっくりとニ人の前まで歩いてきた。
<ようやく、皆さんとこうやって会う事が出来ましたね。>
<え?>
<私はサクコブ星の南タオチトゥ解放軍第280部隊准尉、サザア・グファプと言います。初めまして!>
女子生徒はそう念じると、ニ人に改めて微笑んだ。


宏子は女子生徒を見ながら眉をよせた。
<って…何で? 何でサクコブが北高生になる必要がある訳?>
<えっと、あなたやあなたと、意思をスムーズに疎通させる便宜上、こういったイメージが良いかと思ったんですけど。私達の現実の体だと、皆さんには大きすぎますよね?>
<それでは、ここはあなたの用意したバーチャルな世界なの? サ…>
<サザア・グファプ。…あれ? 一応、クザラル星の人だったら発音しやすいっていう音に変換して表現しているんですけど…地球の人には発音しづらいですか?>
<いえ、大丈夫よ。>
<本当はですね、サクコブが、bzzzzzbzbzzbz、サザア・グファプだとbzzzzzbzzzzzz…bzbzzzzzbzって言うんですけどね。>
<…そ、そう…>
リジュワナと宏子は目を見合わせる。
<それだとクザラル人には全然発音しづらいよって事で、昔、クザラル人の言語学者さんが私達の言葉の音をクザラルの言葉の音に変換するルールを研究したんですよ。で、クザラルの言葉と地球の言葉って使う音は多分殆ど同じだから、そのルールを借りれば地球の人にも通じるかな、って思ってたんですけど。>
<ええ、その…元の言葉、よりはずっと発音しやすいわ。サザア・グファプさん。>
<サザアで良いです。>
サザアはリジュワナに笑ってみせる。
<そう…それじゃあ、私はリジュワナ。これが宏子。>
<ええ、一応知ってます。>
頷くサザア。
<でも、ふたりともよくここに来れましたね。多分、無理だろうな、って正直諦めてたんですけど。>
<サザア…色々と聞きたい事はあるんだけど、まず…ここはどこなの? バーチャルな空間と思っていいのかしら?>
<ええと…クザラル人の感覚接続とかに近いと思っていいとは思うんですけど、ここの場合はいわゆる技術的なバーチャルリアリティーじゃなくて、純粋なテレパシーになるんですよね。一種の系の魔法というか。もちろん機械で増幅はしている訳ですけど。>
サザアはそこで、やや自慢気な表情で微笑む。
<サクコブの科学技術は、クザラルの人達なんかよりもずっと進んでいますから!>
<そう……どういう意味か分かった?>
宏子に目配せするリジュワナ。
<…振らないで。>
<了解。…それじゃあ、「現実」の世界は今、どうなっているの。私やあなたはそこにいる?>
<ええ。ここはあくまで心の空間だから、体はちゃんと別にありますよ。私は今、デパートの屋上で飛んでいるはずだし、あなた達は私が最初に呼んだ別時空にいるはず。>
<別時空?>
<ええ…いや、だって、そうでもしなきゃこっちのテレパシーに真剣に答えてくれないと思いましたから。ニ人とも、時間が止まった空間に来て、そこから抜けようとしてここに来たんでしょう?>
<ええ、その通りだけど…それはつまり、ゼロ時空という事?>
<あ。それとはまた微妙に違うんですよねえ。>
サザアはウインクして、指を振った。
<ゼロ時空っていうのは時間の流れの止まっている世界。ここは…あー、ここじゃなくて今あなた達のいる屋上の話ですけど、は時間は流れてはいるんだけど、それが普通の時空とは全く別の方向に流れている世界、って感じですかね?>
<……分かる?>
宏子を見るリジュワナ。宏子は視線を返す。
<…後で噛み砕いてまとめといてくれる?>
<却下。…それでここに私達を呼んだのは、どうして?>
<それはもちろん、あなた達とコミュニケーションを取りたかったからですよ。ここの所、ずーっと試行錯誤頑張ってたんだけど、やっぱり私達と地球人さん達じゃ体の構造だの魔法の特性だのが全然違うからもう、大変だったんです。>
<一回、あなた達はいい所まで行ったのよ。ええと…ここの体育館であなた達の仲間とやりあった時。その時私があなた達のテレパシーを受けたの。何だったかしら…「お前達の敵は、クザラル、よく考えろ」みたいの感じの奴を。>
<ああ、そこまで伝わってたんだ。…でも、良い所で曖昧な感じですねえ。>
前の席を引いてそこに座ったサザアが、あごをかきながら苦笑する。
<ええ、でも大体それが伝えたい事ですよ。地球人の皆さんの敵は私達サクコブ生命体じゃない、クザラル人なんです。>
リジュワナと宏子は目を合わせた。
<でもさ、サクコブ…何度も地球人を攻撃してるじゃん。…私達もやってるけどね?>
<まあ、それはそうですよね。だって私達にとって地球人は敵ですし。>
<…>
宏子はしばらく固まってから、サザアに目を向ける。
<はい?>
<ん?>
<…いや、ん?じゃなくて…だから、地球人にとって、サクコブは敵じゃないんだよね? で、何で逆はアリなのよ?>
宏子の念にサザアは一瞬考え込む。
<…あれ? あ、そうか、ええ、そうなんですけどね、でも私達にとって、地球人はクザラル人な訳で…>
<言ってる意味が全然分からないんだけど…>
<本当の地球人の人は、別に良いんですよ。私達は全然興味は無いです。だけど、クザラルの人達がね、地球人を材料に、自分達の兵士にしようとしているんです。だから、それが困るから攻撃してるんですよ、私達は。>
<え…どういう事? それは、魔力のある地球人を集めて洗脳したりとかそういう意味?>
サザアはテレビドラマの話題でもしているかのように軽く頷きながら答える。
<まあ、それもありますし、そもそも地球人に魔力なんて全く無いのに、手術で魔力を埋め込んでるじゃないですか、クザラル人が。>
<は…>
お互いを見合う宏子とリジュワナ。
<…本気?>
<もちろん。だから、その意味じゃあなた達は純粋な地球人じゃないんです。クザラル人の人達があ、地球人をクザラル人化させようとして出来た人達ですからね。>
<…>
<クザラルの人達は、どんどんどんどん地球人に魔力を受え付けて、それでクザラルの人達の為に戦ってもらおうって思ってるんですよ。元々あそこの人達は人口があまり多くないから、人口のたくさんある地球はそういう意味でも魅力的ですしね。>
<その…仮にあなたの話を信じるとして、>
落ち着こうという努力の感じられる表情でリジュワナが尋ねる。
<いくら似ているとはいえ、地球人をクザラル人にする、っていうのは無理だと思うんだけど。>
<まあ、地球人の人達の科学技術だったら、多分まだ無理でしょう。クザラルの人達の技術ですら、まだ本当に試行錯誤の段階なんだと思います。だから、まだ地球に何人もいないんですよ、魔力のある人達が。でもこれが成功しだしたら、今度は更に高度な段階の同化手術をやって、最終的には皆クザラル人にしちゃう…っていうのが一応あいつらの目標なんじゃないですか? でもそこまで行くのにはかなり時間がかかる、というか行ったら困るから、私達がそういった地球の人達を攻撃してる訳ですけど。>
<それだったら、まずその私達を「作って」いるクザラル人を攻撃すべきなんじゃないかしら。>
<もちろんそれもしてますって。でもその間こっちを放っておいて良い、って訳にもいかないじゃないですか。>
サザアは少し困ったような表情で肩を上げた。
<…大体分かったわ。>
目を閉じるリジュワナ。
<って、リジュワナ、サザアの言う事信じるの?>
<…話としては筋が通っていると思うわ。信じるとは言わないけど…この世界で、証拠を出せとかいってもしょうがないような気がして。所詮全部、このサザアの提供しているテレパシーなんだから。>
<…>
リジュワナの念に、宏子はどこか不愉快そうに黙っている。一人だけ楽しげなサザアは明るい笑い声を上げた。
<あはは、鋭いですね。ええ、ここで証拠とか出しても、私が作ったものかどうかなんて分かりっこないんですよねえ。…一応クザラルの人がやってる地球人への手術の記録映像位なら私、持ってるんですけど、見ておきます?>
<…私は良いわ。あんまりそういう気分じゃない。>
<…>
<佐藤さんは?>
<私は…良い。…あ、場所だけ教えて。どこでやってんの、その手術って。>
<映像の場所だったら、クザラル星近くのハサ・ジヌーユ基地っていう所だったけど…そこはもう、私達が完全に破壊しちゃいましたけど?>
<…そう…>
宏子は視線を落とす。
<…あ、そろそろ私のテレパシーも弱くなってるみたいですね。>
サザアはふと教室の一角に目をやる。時計やスピーカーがゆらぎ、形を薄れさせだしている。
<じゃあ、今日はこれでニ人とはお別れ、かな。>
サザアはにっこりと笑うと、椅子から立ち上がった。
<私達にとって、地球の人を殺さないで済むならそれに越した事は無いんですよ。だから、よく考えておいて下さいね。>
<あ、最後に一つだけ聞きたいんだけど。>
リジュワナが立ち上がった。
<何ですか、ホクさん?>
<そもそも何で、あなた方とクザラル人は戦っているの?>
<え? …さあ、それはクザラルの人に聞いてほしいです。クザラルの人達が私達の領域に入って、私達を数え切れないほど殺してきたから…私達は、それを何とかおさえようとしているだけですから。>
<…まあ、一応分かったわ。>
リジュワナは目を閉じ、軽く息をついた。宏子が顔を上げる。
<あ、あの…ねえ、サザア。>
<何です?>
サザアは宏子に目を向けた。
<私……サザアの事…殺しちゃったと思うんだけど…>
<え? …ああ、私が止まってる時に撃ったって事ですか?>
<う、うん…>
<それで?>
<それで、って、その…ごめんね…>
<え、何で謝るんです?>
サザアは不思議そうに首を傾げた。
<私達は今のところ戦ってるんだから、そうするのは当たり前じゃないですか。私達だって出来ればあなた達を殺したいけど、それが難しいからこうやって説得しようとしてるんですから。>
<そ、そう…>
<あ、それに、あなた達がいるのは別時空だから、そこから「止まって」いる私を撃ったって無駄ですよ。実際の私は無傷ですからね。>
サザアは腰に手を当て、自慢気に笑う。
<じゃあ、また会いましょう!>
サザアが手を振ると同時に、床や壁や、机やサザア自身が急速に歪んでいく。それと同時に光が景色を覆い、まもなく何も見えなくなった。


ズバアアアアアアアアアアアアアアアン!
大音響に顔をしかめながら宏子はよろけた。
<…っと…>
転びかけ、バランスをとる宏子。宏子は先程までのデパートの屋上のコンクリートに立っていた。
<…宏子。>
<え?>
リジュワナの念に宏子は振り返る。
シュウウウウウウウウウウウウウンズバアアアアアアアアアアアアアアン!
空中のサクコブ生命体が光に覆われ、つむじ風だけを残してどこかへ瞬間移動していった。
<…>
宏子は屋内へと続くペット売り場の辺りに目を向ける。
「きゃああああああああっ!」
「助けて、モンスターがああっ!」
そこでは、まだそこにいた人々がパニック状態で屋内へ殺到している。まもなく全員が中へ入ったようで、再び屋上は静かになった。
<…ふう…>
<…まあ、この戦闘は終わった訳よね、ニ人とも無傷で。>
念じるリジュワナ。宏子は飛んでいくカラスを眺めている。
<無傷…?>
<…そうね。確かに効果的な「攻撃」だったわよね。>
リジュワナは息をついて答えた。

カラン。
宏子は足元をころがる物に気付き、それを手にした。3センチ四方程度の大きさの、黒い基盤のような物だ。
<…>
宏子はそれをしげしげと眺める。
ピッ。
<あっ>
電子音と共にそこからバーチャルディスプレイが表示された。
そこには、手術室らしいベッドに地球人の子供が拘束され、その周囲をクザラル人が囲んでいる映像が映し出されている。
<あ…>
映像に目を奪われるリジュワナ。
ピッ。
映像は何秒もたたず、電子音と共に消える。リジュワナは宏子に目を向ける。
<…>
宏子は機械のスイッチと思われる部分に親指をあて、両目をつぶりながら、機械を持った手を震わせていた。


午後のやや落ちた太陽が影を作る中、夏服のブレザーを着た宏子は通り慣れた堤防への道を歩いていた。
「…」
「…皆、本当にバラバラになっちゃうのかな。」
宏子の隣を歩く美耶が呟く。
「…別に今までもバラバラだったし、そもそも長く一緒にいようっていうような集まりじゃないしね。」
「何、突っ張ってんだか。」
美耶はやや冷たい表情で宏子を見やる。
「…」
宏子は無言でため息をついた。美耶は眉を下げる。
「ひーこ…前も言ったけどさ、辛い時はどんどん私に愚痴って良いんだからね? そういう風に溜め込んで、一人で落ち込んでいるっていうのはひーこの柄じゃないよ。」
「でも……美耶は魔法少女じゃないし…」
「じゃないかなら何? 私はひーこが私みたいな団地っ子じゃないからっていう理由で話を止めようとか、思わないけどな。」
「それは…美耶が言いたい事は分かるけど、やっぱり違うんだよ、魔法少女とそうじゃない地球人は。…志穂を見れば分かるじゃん。」
「あれは…たまたま、モンスターを見たのが始めてだったからびっくりしただけで、後から志穂だって謝ってたじゃない。」
「そうだけど…別にそれに怒ってる訳でもないけど。でも、それだけじゃなくて…魔法少女は…」
「…魔法少女は?」
「…何でもない…」
「ひーこお?」
美耶は頬を膨らませて宏子に顔を近づける。宏子は歩きながら体をよじる。
「ま、まあとにかく、これであのねじくれた連中とさよならできると思えば嬉しい事なんだけどね。」
「全く、誰がねじくれてるんだか…」
美耶は呆れ顔で息をついた。ニ人は川の堤防が見える道までやってくる。
「…あれ、今日はまた随分取材の車が多いね?」
「皆、よくそういうスケジュール知ってるよね…」
警備員達がニ人が通れるだけの道を人垣で作り、その向こうからカメラのフラッシュが多数たかれる。
ニ人は道を通り堤防の石段を上がった。
「…」
河川敷には既に魔法少女達が集まっている。そしていつもはニ人しかいないクザラル人が、今日はぱっと見えるだけで十人近く立っていた。
宏子と美耶は一瞬目を合わせてから、堤防を降り河川敷へと歩いていった。


<さあ、これで全員揃ったわね。>
パイプ椅子に座る魔法少女達を前に、ジュチャが手を合わせた。ジュチャの横には、クザラル人達がずらりと並んで立っている。
<今日はいつもの魔術練習はありません。いえ、もうここで、皆が揃って魔術練習をするという事もなくなります。昨日が最後だったからね。今日はこれから、これから皆さんをサポート、指導していく事になる先生達を紹介していこうと思います。まずこちらから、>
<あ、すいません。>
<何、アリーザ。>
わざわざ手を上げてアリーザは発言した。
<…まとめての先生方の自己紹介も良いのですが、まず、それぞれのグループに分かれませんか? つまり私の担当となる方、フェヨールさん、ホクさん、佐藤さん、蔡さん、それぞれのグループで。>
<え? …皆がそうしたいって言うならそれでも良いけど…>
<皆さん、良いですか?>
アリーザは立ち上がり、魔法少女達を見回す。
<まあ、良いけど…>
宏子の念にアリーザは頷いた。
<そうですか。それではさっそくですが、私のグループの方はどちらになるんでしょうか?>
ジュチャと周りのクザラル人達は目を合わせる。ニ人のクザラル人が前に出て、アリーザの方に近づいてきた。
<あなたとあなたが、私の担当になってくださるという方ですか。>
<ああ、僕はトク・キンジャオ。それからこちらがミヌクハーリップ。>
茶色い肌の男性と青い肌の女性が両手上げをする。軽く会釈を返すアリーザ。
<さっそくで申し訳ないのですが、おニ人は帰って頂いて結構です。私はおニ人の力を必要としていませんので。>
<…え?>
トクとミヌクハーリップは呆気にとられてアリーザを見た。
<な、何言ってんのアリーザ。>
<ジュチャさんも、プオラギイックさんも、今日まで色々お世話になりました。私は、今日をもってHYI、正式名称フバキア・ユデ・イルネクザラル魔法協会の皆さんのお世話になるのを辞めさせてもらいます。>
アリーザはジュチャの方に軽く頭を下げる。
<ちょ、ちょっと待って、お世話になるのを辞めるって、私達はあなた達の国の政府からもちゃんと保護してほしいって要請を受けてるし>
<それはうちの、地盤の人気取りしか能の無い大統領が勝手に決めた事であって、私個人の要請ではありません。>
<でも実際私達のガードが無かったら危ないじゃない! いつモンスターが襲ってくるかだって分からないし! それに、あなたが来るのを待ってる魔法少女達だって一杯いるのに>
<確かにおっしゃる事も分かるんですが、私も色々私の事情がありまして。>
アリーザは片目をつむってみせる。
<こちらでお友達になった何人かの男性がうるさいんですよ、離れてほしくないって。私もまだ、こちらでよく見るカクテルを全部は試していませんし…>
<は? そ、そんな理由で…>
<…私もどこにも行かないわよ。>
リジュワナが立ち上がり、スカートの埃を払った。
<ナジーラは悲しむでしょうけどね。ただ、宏子の学力があまりに不安で、今の状態じゃ放っておけないのよ。だからジュチャ、悪いけど、あなたと一緒に行動するのも今日が最後ね。>
<な、な…>
小英が椅子を飛び降りるようにして立つ。
<…まあ、私は元々あんた達と行動一緒になんかしてなかったし? これから一緒にするつもりも当然無いし。>
<ちょっと…>
宏子がパイプ椅子から立ち上がる。
<私はどっちにしろ、場所は動かなくてすんでいたのかもしれないけど、まあ、それとは別に最近ちょっと疲れ気味でさ。だからこれを機に、魔法少女業の方は無期休業って事にしようと思ってるんだよね。まあもともと私は、自分が「魔法少女」だ、なんて認めた覚えもないんだけど。…そうだな、しばらくは、どっか温泉にでも行ってリラックスしようかなって思ってるんだけど…。>
<じょ、冗談を言うのはやめなさい!>
<…>
宏子はジュチャに歩み寄り、彼女にだけ響く強さでテレパシーを伝えた。
<…今日は特にカメラが沢山まわってるから、あんまり下手な動きはしない方がいいと思うから。>
<な…>
宏子はふと、横からの視線を感じ目を向ける。
<…>
無言のプオラギイックが、無表情にこちらの方をじっと眺めている。
<…>
しかしその目がどこか悲しそうに見えて、宏子は彼から目をそらした。

<宏子。>
<…うん、行こう。>
リジュワナに頷く宏子。
<ちょ、ちょっと!>
宏子達は河川敷を歩き、元来た道を戻っていく。堤防の石段を上がりながら、後ろを振り返る宏子。
<皆…良い関係性を。>
宏子は両手をつけて上に上げた。
宏子達は堤防を越え、やがてその向こう側へ消えていく。

河川敷には呆然とした様子のクザラル人達と、モニクと美耶とが残された。

続く



Written by FML (AKA Franken).
Ver. 1.00 on 2002/9/11.

「お、イイェエエエエエエエエエエエエエイイッ!」
「うっ!さいなどうした? 何かヒューズ飛んだ?」
「何言ってんのひーこ、ついに、ついにこの連載も折り返し地点だよ! 1クール乗り切ったよ!」
「折り返し…って、え、まだこれ半分しか終わってない訳? 勘弁してよ…」
「どうしてそうやる気がないかな。この、ひーこの癒しブーム時代の現代っ子!」
「座りが悪いっつーか日本語として意味不明なんだけど。…とにかく、私もうダリいんだよね。次回は休むから。イヤまじで。」
「…ああ、でも考えてみたら大体新クールの最初の回って、お話も一旦お休みだからねえ。今までの総集編とかでお茶を濁してさ。」
「あ、それだ! それで行こう! で私らは温泉旅行! イヤまじで! 絶対やる! 誰が何と言おうが私は行く! いや行く!! という事で次回、魔法少女佐藤第13話、「ドキッ! 魔法少女の湯煙り旅情」。ホントにやるぞ!」
「…あ、ごめんひーこ、私間違えちゃった。1クールが終わるのって次回だったよ。」
「あ゛ー!? 知るか! とにかく行くからね!」
「そこまで温泉に必死になる魔法少女って…」



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