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A-Sato Ltashofe Yde Ilne

Episode 16: Do the greater jihad

アメリカのEIM本部は、スタッフの数がいつもより少ないはずなのに、人通りはいつにも増して慌しく感じられた。
シュウウウウウウウンズバアアアアアアアアアアアン!
光と共に現れた宏子を見ると、技術士官と思しき女性が宏子に走りより何か話し掛ける。
「うん、聞いた。私の端末に送ってくれる?」
「分かりました。」
頷く士官。宏子は指令室の一角に早足で歩く。
オフィスチェアに座る宏子。彼女は腕端末を操作し、バーチャルディスプレイを表示させる。
ディスプレイに「接続中…」というメッセージがしばらく表示された後、表示が切り替わり、画面に見知った顔が表示された。
「…久しぶりじゃん。」
「そうだね。」
画面の白人の少女は、青い瞳をぱちぱちと瞬かせながらこちらを見ている。
「どうしたの。急に通信なんか入れて。何のつもり?」
「…」
モニクは、宏子の言葉に不愉快そうな表情を見せた。
「…半年ぶりだっていうのに、随分冷たい言い方なんだね。」
「冷たいのはあんたでしょ。…人の命を、何だと思ってんのよ。」
モニクはやや眉をひそめてから、宏子の言葉に答えた。
「質問の意味がよく分かんないけど…人の命は、とても大切なものだと思うけど?」
「へえ。その割には、随分平気で人殺ししてるよね? しっかもわざわざ残酷っていうか悪趣味なやり方で…」
「…何か勘違いしてるみたいだけど、私は平気で人を殺してなんかいない、というより、一人も殺した覚えなんか無いよ。そもそも一人になってから、戦闘自体殆どしてないし。」
「はあ。…まあ、そりゃそうか。おたくは地球軍の最高級VIPですものねえ。自分の手なんか汚す事は無いんだよね。ウチらと違って。」
「…」
翻訳機の言葉にため息をついているモニク。ディスプレイのモニクはこちらに話し掛ける。
「…何があったのか知らないけど、ひーこちゃん。私はひーこちゃん達の敵になんてなったつもりはないし、今でもひーこちゃん達を凄く大事に思ってるの。だから、ここ半年の間だって、ずっとひーこちゃん達に連絡をとろうと頑張ってきたんだし、タキュグ…ああ、友達なんだけど、彼の助けでようやくこうやって通信を送る事が出来たんだよ。でも、この暗号回線もいつまで持つか分からない。…だから、この通信で喧嘩とかをしてるような暇は無いんだよ。」
「…」
宏子は、腕組みしたままディスプレイを見る。
「それなのに、通じたと思ったら5分近くも待たされて。もう、ひーこちゃんも随分忙しくしてるんだねえ。」
軽く膨れっ面で微笑んでみせるモニク。宏子はつまらなそうにため息をついた。
「ちょっと瞬間移動してきてね。さっきいた場所だと、ゆっくり通信出来る雰囲気じゃなくてさ。何しろサクコブとあんたらHYIと、両方から同時に攻撃受けて…ええと…16人かな?死んだから。 3人サクコブで13人HYIだよ。全員脳みそをかっぱり、攻撃弾で切り取られてね。」
モニクは目を見開く。
「…それ、本当なの? 本当に魔法協会?」
「あんただってHYIがどういうとこかは知ってるでしょ。しかもあんた達から見れば、こっちは「敵対的武装テロ集団」になっちゃう訳だし。」
「でも…そんな残酷な事をクザラルの人達がすると思う? サクコブとか、クザラル反対派の地球人なんじゃないの?」
「「クザラル反対派の地球人」が私達なんだ、って。だいたいあんただって知ってるでしょ。クザラル人が魔法少女…あんたも含めて、を地球侵略の為の道具として、遺伝子から作り上げたって事は。あ、それともウチらのコマーシャル見なかった?」
「それはひーこちゃん達が、HNKに騙されて言わされているデマじゃない! …そう、その事を話そうと思ってたんだ。…ひーこちゃん。ひーこちゃん達、騙されてるんだよ。ひーこちゃん達が変な話を聞いたのって、全部HNK経由なんでしょ? HNKってね、クザラル星では、魔術テロや民間人虐殺を何度も繰り返してきてる組織なの。そんな組織の口車を丸々信用するなんて、ひーこちゃん達、皆、おかしいよ?」
「別に私らだって、HNKがいつも正しい正義の使者だなんて思ってないよ。でもフィクバ・モ・ブンティブとか、ブエノスアイレスの事とか、全部HNKのでっちあげだ!って思う? 全部、HNK程度の組織ででっち上げられるような事だって思うの? 私だって、最初はこんな酷い話信じたくなかった。でも、どう否定しようとしても、否定しきれないじゃんよ。大体、もし協会が私達…あんたがどうかは知らないけど、の味方だとしたら、何で私らをいきなり虐殺しなきゃいけないのよ。その前に口で反論すれば良い事じゃん。」
「だから、それはHYIじゃないんだよ! HYIの者ですって言った? 言ってないんでしょ? 確かにEIMみたいな中傷活動をされてれば、協会の人だって良い気分はしていないよ。皆、地球人と仲良くするために来たのに、誤解されちゃってるねって、悲しく思ってる。でも、だからってそれで皆を殺そうとするなんて、協会がそんな事すると思う? 皆を絶対傷つけないようにっていうのは私からも強く言ってあるし、それを言うまでもなく協会はそんな事しない。…ねえ、ひーこちゃん、よく思い出してよ。いろいろ悪い噂をする人はいるかもしれない。でも、実際にひーこちゃんや、私や、皆を助けたのは誰だった? それは魔法協会から来たプオちゃんであり、ジュチャちゃんであったんでしょ。」
「「プオちゃん」自身がHYIに幻滅してこっちに来てるんだけどね。良い気持ちを持ってない、って? じゃあこっちの気分を教えてあげようか。ここんとこずっと、最低最悪なんだけど。…あのね、あんたがどうしてもこっちの言ってる事が信用出来ないって言うんなら、取りあえずどっかのクザラルの医者に自分の遺伝子を見てもらいなよ。もちろん、協会には内緒でね。それで自分がクザラル人であるって事を確認して、それから色々考え直したら。」
「そんなのもデマだよ。大体、それって確か、クザラル人は地球人に魔力を植付けようとしたけど、結局出来なかったから、クザラル人をベースに地球人のような「魔法少女」を作り上げたっていう話なんでしょ?」
「うん、そうだよ。」
「でも、ひーこちゃんだけは全くの地球人で、魔法少女だっていうじゃない。しかも魔力は皆の中で一番強いんでしょ。…それじゃあ、理屈が成り立ってないじゃない。一生懸命クザラル人から作らなくたって、地球人で最強の魔法少女がいるんだったら、わざわざ作る必要なんかどこにもないよ。」
「…」
モニクの言葉に、宏子は困惑した顔で首を振る。
「それは…私が、偶然、本当にまれな突然変異か、何かそんなんだったんでしょ。でも私以外に、そんな変な奴は地球人では一人もいなかったんだから。」
「ふうん。でもさあ、もし私が悪いクザラル人だったらまず、そんな突然変異のひーこちゃんを解剖してひーこちゃんのクローンでも作ると思うけどな。そんな事された覚え、ある?」
「無い、けど…それは、確かに、何で私だけ地球人なのかはよく分かんないけど、それとこれとは話が別じゃん。全体として見てみれば、HYIに問題がある事はもう隠し切れないところまで来ているのに、何であんたがその中に居残っているのかが私には理解出来ないよ。」
「…」
「大体何よ? もう半年も前の話になるけどさ、あんたホワイトハウスで記者会見するのは良いけど、勝手に人を洗脳の被害者扱いしないでよね。確かデマっていうのは、ああいうものの事を言うんじゃなかったっけ?」
「だって、本当にされてるじゃない!」
「されてるのはあんたの方でしょうがっ!」
頬杖をつきながら、宏子はため息をついた。
「…で、後この回線はどの位持つの? 楽しいお話は後何分位続けられる?」
「ええと…」
画面の向こうのモニクが何かに目を向ける。
「はっきりとは分からないけど、いつ切れてもおかしくないと思う。」
「…」
「…」
宏子とモニクは、同時に黙りこくり、画面の向こうのお互いの顔を見た。
「…何で今もHYIにいるのよ。こっちに来れば良いじゃない。」
「ひーこちゃんこそ…」
「私は、クザラル人が許せないから…もう、これ以上奴等に好き勝手されちゃたまらない、と思ったから……本当は、皆で仲良く出来るのならそれが良いのかもしれないけど…」

広々とした個室に一人でいるモニクは、カウンターのようなデスクの上のバーチャルディスプレイに目を向ける。
個室の照明は薄暗い間接照明のみで、空中に浮くディスプレイだけがこうこうと光っている。
「私は…ひーこちゃんに、私の父親の話ってした事あったっけ?」
画面の宏子は顔を上げる。
「…こっちから聞いた事だったらあったけど。両親は健在なんでしょ。」
「う、うん。」
「でもあんた、それ以上は答えるの嫌がったじゃん。」
モニクは穏やかな表情で頷いた。
「そっか。そうだったかな。うん…私の父親ってね、何て言うか、その、えーと…」
モニクは軽く唇を噛む。考え込むような様子を見せてからモニクは続けた。
「まあ、うん…色々あってね。とにかく、その…あんまり良い親じゃなかったんだ。でも、ママは良い人だったんだけど。良い人っていうか…本当に、凄く苦労してる人だった。私が、その…あんまり良い子供じゃなかったからね。だから苦労してた。でもママは本当に優しくて…だから、私もママに感謝の気持ちを返そうと思って、これまで頑張ってこれたし、最近は、前に比べれば、私も普通になってきてたんだ。あ、普通って言うのは、私、昔は凄い暗い子だったのね。人と喋るのも、目を合わせるのも、外に出るのも、一時は全部、そういう事が出来なかったの。」
「…」
画面の向こうの宏子がこちらをじっと見ている。
「本当につい最近…14位、13だったかな、まではそうだったんだよ。でも…今は、こうやってひーこちゃんとかと話をする事も出来るし、目を合わせる事も出来る。これは全部ママのお陰。」
「…」
「…私が、初めてモンスター…サクコブって言うんだったっけ、に出会った時、ママと一緒にショッピングモールにいたんだ。急に現れたモンスターは私を狙ったんだけど、当時はまだモンスターも力が無くて、私が無意識に張った防御魔法で私は無事だったの。でも…」
「…モニク…」
「…コントロール力も今考えれば低かったんだろうね。最初それが消したのは下半身だけだったの。…血が、すごかった…人間って中身は凄くどろどろとしてるんだよね。人の体ってさ、機械とかと違って柔らかいじゃない。それって、そういう事なんだな、って…」
「モニク、もういいよ…」
「ママが見る見る内に…私の中でモノになっていくの。博物館でしか見た事ないような、スライスした人体標本に。でも、ママはまだ生きてて、私に「大丈夫? 早く逃げて!」って言ったの…」
「…」
「その時…私は答える事も、逃げる事も…泣く事も出来なかったんだ。ただ、その場に座り込んで…あんなに大好きだった、あんなに大切だったママが急に物に見えた自分が、ただ怖くて…信じられなくて…それで、そのままその場に座り込んでた。その間もママは何かをずっと喋り続けていた 。…何を喋っていたのかは思い出せないけど、何か、凄く心配そうに喋っていたのだけは覚えてる。でも最後は、モンスターはママの全身を消滅させて…それから少しだけ遅れて、ジュチャちゃん…当時は誰だか知らなかったけど、が瞬間移動で現れて、モンスターをやっつけたの。私は、ずっと…動けなかった。あの時のママを助ける事も…何か、一言でも答える事も……出来なくて…」
モニクが画面から視線をそらす。
「…」
モニクは画面に向き直り、はっきりとした口調で続けた。
「…私は、だから今、モンスターが許せない。モンスターを許さないで、私達の星への攻撃を止めさせる事で、私は、ママに答えていくつもりだよ。」
「…でも、その攻撃だって…私の姉貴と同じで、クザラル人の秘密工作だったのかも、しれないじゃない…」
「ひーこちゃん達の話を信用すればね。…でも、一つだけはっきりとしてるのは、全ての原因はモンスターだって事だよ。クザラルの人達だって、確かに嘘をつく事もあるだろうし、もしかしたら、秘密の作戦を実行しているかもしれないし、そもそも、地球の人を助けようとすらしていないのかもしれない。…まあ、HYIが地球の周りに防衛網を張って、週に何隻もモンスターの宇宙船を追い返してて、しかもそれでHYI側にも沢山犠牲が出てる、って事実を知ってる人は、普通そういう結論は出さないとは思うんだけどね。でも、仮定の話として、クザラル人が悪者だとするよ。…ひーこちゃん、でもね、仮にそれを全部認めたとしても、それでも一つ、絶対に動かない事実は、常に、地球を理不尽に攻撃し続けてるのはモンスター側だ、って事なんだよ。どうしてこんな単純な事実をひーこちゃん達が理解出来ないのかが分からないけど…クザラルの人達のしている事は、もし仮に、ひーこちゃん達が言ってるような事を全部信じたとしても、それには全部理由があるの。ひーこちゃん達の言ってる事を信じる場合でも、信じない場合でも、その結果ってある意味同じなんだよ。それはつまり、クザラルの人達は地球の人達に強くなって欲しいって思ってる、って事。モンスターは、どっちにしても私達を条件反射的に攻撃し続けるって事。何をどうしたってモンスターは来るんだよ、地球に。リジュワナちゃん、モンスターにやられて今も意識不明なんでしょ? それでも、モンスターよりクザラル人の方が許せないっていうひーこちゃん達の考えは、私には分からないよ。」
「…」
「…」
ニ人は、お互いを見つめあったまま息をついた。

モニクの顔を見ながら宏子は呟いた。
「…モニク。…未だに、アニメとか見てんの?」
「え? 何、急に?」
「別に…何となく。あんたの事だからそういう病気抜けてないのかな、とか思って。」
「…アニメが好きって言うのは、芸術を愛する心であって、病んでる心じゃないと思うんだけどな。」
かなりむっとした表情を作り、画面のモニクは答える。しかし彼女の口元は心なしか微笑んでいるようにも見える。
「もちろん見てるよ。翻訳機のお陰で最新の日本語版が見れるのが嬉しいよね。昔、リリースのペースが遅いフランス語版をじりじりしながら待っていた頃とは比較にならないよ。」
「ふうん…」
「…少なくとも、暴力的で卑猥な歌詞を、メロディーの無い雑音の上でただただがなりたててる類の音楽を聞く趣味よりは、「病んでない」心を持ってるつもりだけど?」
冗談めかした顔でモニクが肩を上げる。宏子は微笑んで、軽く頷いた。
「そっか……良かった。」
「え、何が?」
「…別に。」
「へ…?」
眉を寄せるモニク。その時モニクの部屋で電子音が鳴った。
「…あ、誰か来たのかな。」
横を向くモニク。モニクは数秒耳を傾けるようにしてから、口を半開きにしつつその方向に顔を上げてしばらくじっとする。画面に向き直ったモニクが、先程より小さな声で話しだした。
「…あ、ひーこちゃんごめん、ジュチャちゃんが何か呼んでるんだ。回線切らなきゃ。」
「あ、うん…」
「また今度ね。ひーこちゃんも、アリーザちゃんも、小英ちゃんも、プオちゃんも、皆、元気で。あ、後私からだけじゃなくて、ジュチャちゃんも、よくひーこちゃん達の事心配してるんだよ。だから皆…元気でね。」
腰を上げながら、モニクが画面に顔を近づける。
「う、うん…そっちこそ…」
「ああ、…」
ドアがあると思われる方向に顔を向け、何かを念じているらしいモニク。
「じゃあ、また今度。」
顔を再び画面に向けるモニク。次の瞬間、画面はオフライン表示に切り替わった。

「…また今度ね、モニク…」
宏子は軽く目を閉じてから、バーチャルディスプレイの表示を消し、椅子から立ち上がった。


コンクリートが剥き出しの、殺風景な部屋のベッドの上で、プオラギイックが壁に寄りかかりながら座っている。日本の浴衣のようにも見えるダークブラウンのシンプルな服は、クザラル式の寝巻きのようだ。
プオラギイックは腕端末のバーチャルディスプレイに、片言のエウグ語で話し掛けていた。
「これは本当なのか?」
「はい。今朝一番に、ここの技術者連中に出回っていた署名メールです。もちろんごく小数にですが。…詳しい事は、そちらの資料で確認してください。」
「そりゃそうだ。こんな物、エウグ語で説明されても理解が出来ない。」
ディスプレイ内の、通信ウインドウとは別のウインドウにデータを表示させながら、プオラギイックが答える。
「エウグ人にとっても理解出来るような内容じゃありません。サクコブ内部に敵がいたなんて、初耳です。あの一枚岩に見える彼等が、信じられない。」
ディスプレイの向こうの、茶色い肌のクザラル人男性が首を上に向ける。
「おいおい、ちゃんと勉強はしておけよ。俺は初耳じゃなかったぞ。5って名前まで知ってた。」
「5じゃなくて、05ゼロゴーです。」
「…そんなの同じだろ。」
少し決まり悪そうに返すプオラギイック。
「わざわざ区別しているというのは、何か違いがあるという事だと思いますが…」
「…それはともかく。クザラル人だって、地球人だって、これだけバラバラで、中ではお互いいがみあってるんだ。ちょうど、俺とお前みたいにな。それを考えれば、サクコブ内で同じような事があったとしても不思議じゃない。」
「…こう見えても私は、班師補に心から尽くしているつもりなんですが…」
気分を害した様子の男が答える。
「冗談だ。付いて来い。俺の知ってるエウグ人はもっと毒のある話も平気で受け流していたぞ。」
「はあ…」
「それに、もう班師補じゃない。…って言う以前にそんな低い役職名で一々呼ぶな。」
「…それは、私の冗談です。」
「…」
「…こんな具合ですか?」
「…ああ、良い調子だな。」
顔を引きつらせながら画面に頷くプオラギイック。
「とにかくこの5…05、についてはよくやった。」
「おほめ頂いてありがとうございます。危険な「無償」任務の甲斐があるというものです。」
男は、一部の単語を強調して発音する。
「…今度、褒賞に日本の生魚料理でもそっちに送るか?」
「お気持ちだけで結構です。」
「また、何か面白い話があったらこっちに頼むぞ。」
「ええ、班師補も何かお困りの時はぜひご一報を。ご健闘をお祈りしています。それでは失礼します。…良い関係性を。」
「ああ、良い関係性と…幸運を。お互い。」
男が頷く。プオラギイックは画面に向かって両手上げをした。


髪の整っていない宏子が、眠そうな目であくびをかみ殺しながら司令室を歩いている。
ライムグリーンのパジャマを着た彼女は手にコーヒーの入ったカップを持っている。宏子はその匂いに軽く鼻で深呼吸しながら、デスクの列の中を歩く。
自分のデスクの、すぐ隣のデスクにある人影を目にし、宏子はぼうっとした顔のまま立ち止まった。
<何、今日はまた早いんだね。>
<ん…>
宏子に気付いたプオラギイックは、自分の前に表示されているバーチャルタッチパネルの前で指を動かす。少し眉を上げた宏子は、<ふふーん>と念じながらプオラギイックのデスクに近づき、彼の前のバーチャルディスプレイを覗き込んだ。
<何よ。何見てたん。今、何か表示消したでしょ?>
<…さあ。>
<ほう…>
目を細め、プオラギイックをじろじろと見る宏子。
<何だよ。>
<…ま、私は別にそういうの、軽蔑するつもりはないよ。プオだってねえ、男の子だもんねえ。そりゃあそういうのの一つや二つ見たくなる日だってあるよねえ。>
勝ち誇ったような表情で腕を組む宏子は、その肘でプオラギイックの肩をつつく。
<もう数え切れないほど言い尽くして来た気がするが、念のためもう一度言っておく。俺とお前と一緒にすんな。>
一瞬で宏子の表情が冷却される。
<…は? 何それ? 私がそんなの見てる訳ないでしょ。それこそあんたと一緒にすんな。私はそんなの一度も…ええと…基本的には、一度も見た事無いわよ!>
<…>
無言で横目を向けるプオラギイック。
<い、一度しか無いわよ! …ああ、でもあれを合わせれば確か……と、とにかく殆ど無いわよ!>
<まあ良いけど。で、何の話をしてるんだ? 見てない見てないって。>
<え?…と、それは…>
<それは?>
<それは…>
コーヒーを隣のデスクに置いた宏子が体操でもするようにその場をうろうろと動く。
<モーニング娘。の飯田圭織とか、かな。>
<…>
宏子の念に、プオラギイックの耳が立つ。
<カオリン、僕のカオリン!とか端末の画像に囁きかけたりしないでね。隊の士気に響くから。>
<一回もしてないだろ、そんな事。>
<…本当は、何回?>
宏子が細い眉をいわくありげに上げながら顔を近づける。
<本当にゼロ回。そんな質問一々繰り返すな。その辺を、お前と一緒にすんなって言ってる。>
<あ、そういえばさ、後あんた鬼束ちひろも好きとか言ってなかったっけ?>
<…>
プオラギイックの耳が、敏感に反応を示した。
<…あ、そう! …そうか。プオラギイック君は今は鬼束に乗り換えたか。>
心なしかぎこちない動きでため息をついてみせるプオラギイック。
<何下らない事言ってるんだか。大体、いつの話だそれは。去年の秋場だろ? 何か、たまたま日本で聞いた音楽が地球の物にしては上品だったって言って、それが彼女の曲だったってだけじゃないか。歌い手本人の事なんか俺は何にも知らないし、別に興味も無いだろ。>
<飯田圭織も鬼束ちひろも背ぇ高いよねえ。大柄な人が良いんだ。…で、顔はどっちかっていうと南国系? つってもニ人とも日本人だけど。>
<うるさい。黙れ。>
プオラギイックは宏子に目を向けず、バーチャルタッチパネルを操作する。
<ま、両方とも叶わぬ恋だけどねえ。あんたと飯田圭織や鬼束ちひろじゃ、そりゃ、釣り合いってもんが、ねえ。>
楽しそうにプオラギイックの顔を覗き込む宏子。プオラギイックは肩を上げる。
<ああ、全くだな。お前とシスコとかいう歌手並に釣り合いゼロだな。>
ニヤニヤ笑いだった宏子の顔が引きつった。
<う…るさいわね。私は別に自分がシスコとどうとか…そんなに思った事はないわよ。>
<…間を開けて言っても意味が無いとは思わないか?>
<うっさいわね、大体そんな話あんたには関係ないでしょ。…で? 結局こんな朝っぱらの、まだ朝番以外誰も司令室に来てない時間帯からあんたは何一人でこっそり見てたのよ。>
<それはお前に関係あるのか?>
<もちろん。この司令室で見ていたって事は何かしら我がEIMに関係があるんでしょ? それなら代表の私に関係無いなんて事は無いよね。>
<じゃあお前が自分の机に鬼のようにつんでいるそのCDも全部仕事絡みだったのか。>
<うるさい。死ね。そして答えなさい。>
<…>
呆れた様子で宏子を見上げるプオラギイック。彼は息をつき肩を上げる。
<失望させるようで心苦しいが、本当に仕事のファイルを見てたんだ。別にお前が妄想しているような面白いもんじゃ…いや、ある意味面白かったけどな。余りに興味深いんで昨日から夜通し読んでいた、っていうのは事実だが…>
<…え? あんた徹夜してたの? でも、今日も仕事の予定無かった?>
<ああ、会議は出るよ。少し仮眠は取りたいが…>
<何よ。どういうファイルだったの?>
トーンが真面目になった宏子がプオラギイックに尋ねる。
<それは…秘密だ。>
<…>
眉をひそめる宏子。
<ま、どうしても教えろって言うんだったら、EIMの脱退を前提に前向きに検討するとしよう。>
<…何で秘密なのか、って聞くのもアウト?>
立っている宏子が、真面目な表情でプオラギイックを見る。
<出来れば勘弁してほしい。…まあ、お前やEIMに迷惑をかけるつもりじゃない。そもそも今は「面白いファイルが来たな」、って言うだけだしな。>
<…>
しばらくプオラギイックの顔を眺めていた宏子は息をついた。
<…まあ、一応副代表のしてる事だし、無理に聞くつもりはないけどさ。>
<ああ…ごめんな。>
<良いって。…それにしてもあんたも仕事熱心だね。まあ、上司としてはそうしてくれるに越した事はないけどさ。あんたホント、いつもここにいるでしょ。>
宏子は隣のデスクの椅子に座り、キャスター付きの椅子を動かしてプオラギイックの方に近づく。
<そりゃあ…ここにはニグーワー語の通じる娯楽施設は無いし、ニグーワー語の雑誌も無いし、テレビもラジオも無いし。>
<まあ、ね。でもそれは私も同じだよ? ここの会員の結構多くもそうだし、そもそも娯楽施設は無いけどさ。…でも、あんたは特にずーっとここにいない? いや、もちろんいて良いんだけどさ、…その、ずーっと根詰めてるような感じがしちゃって。>
バーチャルディスプレイの表示を消したプオラギイックが、椅子に寄りかかりながら息をつく。
<そりゃ根も詰めるだろ。特に俺なんかは、ほっときゃ危ない立場なんだから。>
<…まあ、そう言っちゃったらそうなんだけどさ。お正月ん時もクリスマスん時もあんたは全然トレニーングルームの方に顔を出さなかったじゃん? 別に出なきゃいけないっていうような集まりじゃもちろんなかったけどさ。でも…皆プオがいないから寂しがってたと思うよ。>
<そりゃ嘘だ。地球式のパーティーっていうのは、皆で集まって飲みあったり食いあったりするんだろ? そんな場所にクザラル人がいたら、皆どうしたって遠慮するだろ。>
<だからそれがいけなかったのかな、って思って大晦日の日は食べ物関係は一切無しにしたのに、あんたはそれ全然関係無くブッチしてたじゃない。>
宏子が頬を膨らませる。
<え、…俺の為にそんな事してたのか? 馬鹿だな、事前に俺に一言言っておけよ。>
<言ったよ! 言ったけどあんたが全然まともに聞いてなかったんでしょ!>
<そうだったか…?>
宏子の剣幕に引き気味のプオラギイックが念じる。宏子は膨らんだ頬のまま横を向いた。
<そうだよ。…せっかく、一緒に住んでるだから、ああいう祝日もプオと一緒に過ごせるって、思ったのに…>
<…>
くる、と宏子は向き直り、速いテンポで補足する。
<…ああ、いや、その、同僚としてね、…地球の、ほら、風習とかも色々教えたいな、とか思ったからね。>
<あ、ああ…>
<って言うか大体何で地球の独立運動組織にクザラル人のあんたがいるのよ。そこに根本的な矛盾を感じるんだけど。>
<一応聞いておくが、形式上俺を雇っているのはお前だったんじゃなかったのか?>
<…あ、そうか。じゃあ私あんたを辞めさせる権限もあったんだ。>
<…>
プオラギイックは軽く宏子を睨んでから、自分の耳に手をやった。
<まあな…何で俺がここにいるんだろうな。半年前の初心なんか、もう忘れたな。…まあ、HYIやHNKには居づらいっていうのが根本だろうけど。>
<でも、ジュチャはまだHYIで頑張ってるみたいだし…それに…こんな事私が聞くのも変だけど…ここはあんたにとって居易いの? 大体、ここにいるって事は、クザラル星の人からは裏切り者って思われるのは確実じゃん。>
<それを言ったらお前達も地球の各国政府から公式にキチガイ呼ばわりされてるけどな。>
<それはまあ、そうだけど…でも、私達の場合は草の根の支援が…>
<ああ、そんな広報官みたいな事言わなくても良い。ネットの評判は聞いてる。…分かった分かった、お前は俺に「天涯孤独なかわいそうなプオ」であって欲しいんだろ? うむ、こちらもいくらでも慰安を受け付けてるぞ。お見舞い金の通貨は出来れば米ドルよりニグーワー・ルーを歓迎する。>
<…あんたもつっくづく可愛気の無い奴だよね。人が素直に心配してあげてるのに。>
<俺の心配をする暇があったら、そのコーヒーがまだ冷めてないかでも心配しておいたらどうだ?>
<…>
宏子は、自分のデスクの上に置きっぱなしになっているコーヒーのカップに目をやる。
<…>
<…>
自分のデスクに戻っていく宏子。
<プオさ…私の事、もしかしなくても嫌い?>
<…嫌いじゃないぞ。時々鬱陶しいけどな。かなり頻繁に時々な。>
<…そっか……そうだよね。私、うるさいもんね。自分でも分かってんだけどさ…何て言うかこう、歯止めが効かなくなるんだよね、時々。>
<…>
<ごめん、ね…今も、別に邪魔するつもりじゃなかったんだ。ただ、ちょっと何してるのかなって気になっただけで…>
<…>
<…あはは、コーヒー冷めちゃった。>
カップに口をつけた宏子は苦笑してみせた。
<…別に無理すんな。>
<…>
明後日の方向を向いて念じるプオラギイック。宏子は作り笑顔をはずし、カップを眺める。
<ただでさえ辛気臭い事が多い世の中なんだ、お前はうるさくて能天気だからこそここの代表なんだぞ。>
<…おほめの言葉ありがと。でも、プオはうるさくて能天気な奴は嫌いなんでしょ?>
<だから、嫌いだなんて言ってないだろ。大体何でお前が俺の好き嫌いを気にするんだよ。お前ならむしろ、俺に嫌われるように努力しないといけないもんなんじゃないのか。>
<…そりゃ、…そうだけど……でも、だって、気になるじゃん…>
隣同士のデスクで、お互い違う方向を見ながら二人は念じあう。
<意味が分からん。エイリアンの考える事は俺には理解不能だ。>
<あんたが理解できてないのはエイリアンじゃなくて、女の考える事でしょ。>
<…まあ、それも確かに理解出来てないけどな。>
<ホントだよ。>
<…>
<…全く…>
<…>
頭をかくプオラギイック。彼は立ち上がった。
<俺は眠いからしばらく引っ込んでるぞ。何かあったら叩き起こしてくれ。後、出来れば会議の30分前だから…10時30分にもな。>
<…>
<それから宏子、何を気にしてるんだか知らんが、お前はうるさい所が可愛いんだから、無意味な気の遣い方なんかするな。それこそ士気に関わる。>
宏子は眉を上げ、プオラギイックの方を向いた。
<…可愛い?>
「...Toeeh...」
忌々しげに呟くプオラギイック。
<ごめん、よく聞こえなかったんだけど…何て言った今? 私の評価の所がよく聞こえなかったんだけど。え? うるさいと、何だったっけ?>
椅子を立ち上がった宏子はプオラギイックに近づき、自分の耳に手をあててみせる。
<…鬱陶しい。>
<…>
プオラギイックを睨む宏子。
<…けど、可愛い。…って言うのはな、あくまで一般論であってだな、それは俺個人の感情とは全く>
<私、プオが格好良いと思った事何度もあるよ。一般論じゃなくて。>
宏子はプオラギイックの目を見る。
<な…宏子?>
<…ルックスはともかくとしてね。>
<…>
<あのさ…あんた、そういう事に全然気付かない宇宙人だし、私もこういうのウジウジ引っ張りたくないから、この際はっきりさせておきたいんだけどさ、私は、その…あんたの、事が…ん…結構…>
腕組みをした宏子が、横を向きながら念じる。彼女の頬はいくぶん赤いようだ。
<…>
<結構、その……気になる、っていうか…その…放って、おけない、じゃ、なくて…えっと、んー…その、ほら、ねえ…あ、ん、んーと…>
<…>
頭を小刻みに震わせている宏子は、切れた防波堤のようにプオラギイックに顔を向けた。
<あーっ、もう、うざったいなっ!>
<お前だっ!>
<あんたも大体分かるでしょ、察しなさいよっ!>
<分かるかっ! 分からないから困るって話してたんだろうが大体!>
<あーもうホンットあんた最低。今日改めて気付いた。ここまで酷いとは思わなかったね。>
<…俺はただ自分のベッドに早く戻って仮眠をとりたいだけなんだがな…>
<あのね、いい加減あんたも気付きなさいよ! 私は前からあんたの事が>ビーッ!<だ、って事くらい>
<宏子。>
<え?>

一瞬の間を置き、宏子は壁のランプに目を向けた。
ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ…。
<A警報? 敵襲、ってもう支部なんていくつも無いのに>
<支部とは限らない。むしろドイツが消えた今なら、本部の可能性の方が…>
急いでバーチャルディスプレイを表示させるプオラギイック。
<…ご覧の通り。>
ディスプレイに地図が表示される。地図には、EIM本部の建物の周囲に光る点が多数あるのが示されている。
<弱い魔力反応が複数って事はクザラル人? にしても多いな、何人いるの、これ…>
<とにかく全員で戦わないとここが危ないな。>「あ、リチャード。」
駆けつけてきたリチャードにプオラギイックが顔を向ける。今も警報の鳴る司令室に、わらわらと人が集まってきた。
<何だ、敵襲か?>
やってきた小英に聞く。頷く宏子。
<うん。クザラル人が西側からエリア内に侵入してるみたい。>
ガズーン…。
<…>
遠くの方から聞こえる音に、宏子とプオラギイックは目を見合わせる。
<何、今のは?>
<さあ…>
<私は何だか分かる。…ドイツでも同じ音を聞いたしな。>
腕を組んだ小英が、音の鳴った方を睨みながら念じる。
<…>
<…>
<…それって、私は聞いた方が良い答え?>
<どっちでも良いんじゃないか、あんたは心臓強そうだし。取り合えず、30秒以内に戦闘チームを配分した方が良いかもしれないとは思うぞ。>
<そう。それは私も何となく分かる。…アリ−ザは?>
小英は首を振る。
<さあ。どうせまた寝坊してるんだろ。放っておけばその内起きてくるんじゃないか?>
<全くあいつは…>
ガズ、ガズーン、パラパラパラ…。
地響きと、何かの崩れる音が微かに伝わってくる。
<あ、英語の通訳がいた。>
一気に司令室に溢れ返っている人々の中で不安気に立っている黒人の少女を見つけた宏子は、彼女のもとへ早足で向かう。
<バデリヌワ。>
<あ、佐藤さん! 何が起きてるんですか!?>
<うん、今から説明するから、えーっと、この端末に向かってそれを英語で言ってくれる。>
腕の端末を操作し、バデリヌワの前にそれを近づける宏子。
<は、はい。>
<じゃあ行くよ。皆さん、今から情報を流します。手持ちのPDAで確認してください。>
<…それだけですか?>
<言って。>
<は、はい…>「Everyone, we send the imformation now. So check it on your PDA. ...Thank you.」
宏子の端末に向かいバデリヌワが喋ると、その声がそのまま部屋のスピーカーから流れ出した。
<プオ、パターン6…じゃなくて7か。三人で割る奴あったでしょ。私が前で、プオ右、小英左ね。>
宏子の念にプオラギイックが頷く。宏子を見上げる小英。
<ドイツ隊は私の所か? 知識があるから前に出ても良いんじゃないか?>
<…ん、そだね。じゃあそこだけ交換で。今から。攻撃開始!>
<了解。>
<了解。>
三人は頷きあうと司令室を散り散りに歩いていく。
「マイ・チーム!」<あ、後バデリヌワ! あんたも!>
立ち止まり、宏子は振り返って声を上げる。宏子のもとに、5、6人のマシンガンを構えた人々とバデリヌワが駆け寄った。
「エブリワン、レッツ・ゴー!」
「了解!」
イハッジャをパジャマのポケットから取り出す宏子。彼等は通路に向かい走り出した。


通路を走る宏子達。宏子は顔をしかめる。
<…あ、やだ。この臭い、ドイツの時も嗅いだ。土の臭い…>
ガズ、ボシュウウウウウウッ、ガズウウウン。
<くっ>
通路が一瞬で赤い炎に包まれる。しばらくの間、赤と黄色のゆらめきで全てが埋め尽くされる。

次の瞬間、炎が消え、その代わりに煙と共に天井の建材が崩れ落ちた。


コンクリートと鉄筋が2メートル上から落下し、埃を上げて通路に積み重なっていく。宏子達は落下した瓦礫の下に隠れ、姿が見えなくなった。
…シュウウウウウウウン、ボンッ。
瓦礫の隙間から赤い光が漏れ出す。光が増し、瓦礫が振動を起こす。そして瓦礫は下から押し上げられたかのように盛り上がり、二、三度、大きく跳ねながら周囲へ飛んでいく。
やがて瓦礫の落ちていた場所から、光の大きな球が姿を現す。その球の中で更に干渉弾が撃たれているようで、それの軽い衝撃で震える大きな球は、上に乗っているコンクリート片を、フライパンの上のポップコーンのように弾き飛ばしていく。
ボン、ボンッ、ボンッ…。
赤い光の球の振動が止まる。光の球の上に乗っていた瓦礫は、全て周囲に飛ばされた。
シュウン。
<ふう…ったく、手間とらせやがって…>
イハッジャを持った手を引き、防御膜を解除した宏子がごちる。宏子は周囲を見回す。
「皆大丈夫?」
「はい。」
声を揃える戦闘員達。
「ユー、ユー、ゴー!」
戦闘員の内ニ人を指差す宏子。彼等は頷いて、今や天井が消え、砂漠の太陽が直接照りつける通路跡を、マシンガンを構えながら前進する。
ズダダ、ズダダダ。
ボシュウウウウウッ!
マシンガンを撃つニ人。それに呼応するかのように前方から炎がまた噴いてくる。
<ちっ…>
瓦礫の下にうずくまるニ人。数メートル後方の宏子がイハッジャを持ち、また防御膜を張った。
燃え盛る炎は宏子の作る光の球の所まで来て、CG効果のようにそこでぷっつりと途切れる。
「駄目だ、これじゃ埒があかないね。」
炎が途切れると共に防御魔法を解除する宏子。
<バデリヌワ、あんた今NKどの位だったっけ? NKって言うよりMKね。>
<ええと…普段なら39位ですけど…>
<それは…キツイな…>
宏子は眉を上げる。
<そっか。まあ、でもそれしか無いよね。…良い、バデリヌワ、ここの人達の防御はあんたに任せたから。えっと、このイハッジャ…こっちの方が多分あんたのステッキよりも性能良いから、これ使うと良いよ。>
自分のイハッジャをバデリヌワに手渡す宏子。
<あ、はい…>
<ステッキ貸してくれる?>
<ええ、良いですけど…何をするつもりなんですか?>
<ああ、あんたはここの防御を出来る限り頑張って。一応ここの人達は訓練はされてるけど、火炎放射をあびて素でいられるほど不死身じゃないから。それから、そのイハッジャ無くさないでね。一応リジュワナの形見だから。って別に死んでないけど。>
<え、ええ、でも、佐藤さんは…?>
戦闘員の一人が宏子の様子に気付き、首を振る。
「代表、それは違います。魔法少女は複数で行動すべきであって、単独での特攻は現時点では危険過ぎます。」
「でもタマラ、ここにいたって危険だと思うけど? 今は時間が無いんだから、動ける奴で動くしかないでしょが。」
「駄目です! 魔法少女だって一人で何でも対処出来る訳じゃないんですよ。ここで一人になってはいけません!」
白人の女性が声を上げる。肩を上げる宏子。
「じゃあ撤退してドイツの二の舞にする? お金出したHNKは良い顔しないと思うけどね。」
「ですが!」
宏子はバデリヌワを見た。
<あんた達は出来るだけここから動かず、駄目な時はとっとと後退する事。それじゃ。>
<あ、あの…>
「ゴー!」
「待って下さい!」
宏子はタマラの手をすりぬけ、走り出す。すぐに横殴りの炎が通路跡を吹き荒れ、宏子の姿は見えなくなった。


炎が一瞬途切れる。
シュウウン、シュウウン。
赤い光が通路跡の一点で光る。次の瞬間通路はまた炎で包まれた。
快晴の空には、米軍の物らしいヘリコプターの機影が見えてきた。低空飛行らしく、砂埃が周囲に吹き荒れる。
シイイイイイイイイイン、ズガアアアアン!
ヘリコプターから小型のミサイルと思われるものが発射され、EIM本部の建物の、ここから数十メートル向こうの地点に命中した。
地響きと共に灰色の埃が立ち、茶色の砂埃と混じり合って周囲の視界をゼロにする。

−ああ、最近建物の魔力シールドも大分弱くなってたからなあ…シユマもうちょっとつっついて早いとこ交換しておくべきだったよ。
時折炎が壁状に吹き付ける以外は埃だけで何も見えないなか、自分の周囲、直径3メートル程度を防御膜の球で覆った宏子は息をつく。
宏子は足元に気をつけながら、そろりそろりと通路を進んでいく。
ボシュウウウウウ、ボシュウウウウウウッ。
火炎放射器の炎の音と、向こうの足音は聞こえる。しかし埃が凄く、未だに視界は効かない。
…。
…今っ!
シュウウン、シュウウン。
防御魔法を解除した宏子が、イハッジャを構えたポーズのまま前を見据える。端末の魔力反応の表示のある地点へ向け2、3発攻撃弾を撃つ宏子。彼女はそのまままた防御膜を張る。
ボシュウウウウウウッ…。
「げほっ、げほっ。」
膜を解除した関係で埃を吸った宏子は、自分の光の球の中でむせる。炎の壁は間髪を入れずに宏子の方に噴射されてきた。
<駄目だ…これじゃ私でもまともに進めないや。せめて時空移動する暇だけでも稼がせてくれれば良いんだけど…>
唇を噛む宏子。
気付くと、ヘリのプロペラ音はやんでいる。墜落したのでなければ、どこか近くに着陸しているらしい。宏子は空を見上げた。
建物の埃はまだまだ強いが、砂埃はそれなりに収まってきている。視界が徐々に効きだしてきた。
シュウウン、プシュウッ。
視界の隅に不自然な「色付き」の光を認め、宏子は反射的に身をかがめ、自分の防御の光を強くした。
シュウウン、プシュウッ、プシュウッ。
<…>
目を開け、ゆっくり光の方向を宏子は見る。考えてみればそれは自分の背後、いや、真横の位置だ。
<ア…リーザ!>
灰色に覆われた途切れ途切れの視界の中、宏子は攻撃弾を連発する人影に念じた。炎が彼女の方向に噴射される。一瞬で炎の向こうに消える人影。
ボシュウウウウウウッ。
<…今日は私は遅番だと思っていたので、来るのが遅れました。>
炎に包まれ全く見えない視界の中、いつもの淡々としたテレパシーだけが響いてきた。
<う、うん…良いけど…それにしても、ドイツの時もこいつらこんなに派手にやってたの?>
<ええ…時空移動しない限り勝ち目は無いですね。と言う事でさっそくやろうとしたんですが…>
ボシュウウウウウウウウッ…。
<この前の例で勉強したんでしょう、彼等は妨害魔術をかなり強力にかけているらしく、移動に失敗しました。>
<え、そうなの?>
<ええ。危うく時空の隙間に落ちてこの時空から自分の存在を消す所でした。今日はまだトーストも頂いていないのにですよ。コーヒーは頂きましたけど…>
<…でも、時空移動位強い魔術を妨害するなんて、いくらクザラル人でも可能なもんなの? もちろん理論的に出来るのは分かるけど、魔力的に消費量凄いじゃん。>
<もちろん実用化もされています。数は少ないですから今まで地球での使用例は聞きませんでしたが、今の彼等がそれをここに持って来ていても私は驚きませんよ。実際、少なくともMK163では時空移動が出来ない状態になっていますし。>
<そう…じゃあ、ここで頑張るしかないか…>
<それではおとりに出ますので、攻撃お願いします。>
念の響く方向が微妙に動く。どうやらアリーザが歩き出したようだ。
<え? ちょ、ちょっと! リーダー私だよ!>
<ようやく自覚が出てきたのは喜ばしい事ですが、だからこそ私が先に出るんですよ。既に佐藤さんの攻撃で十数人死んでるはずです、残りはせいぜい300人程度ですから頑張りましょう。>
<そ、そんなにいるの…>
<その中で魔術師は数十人ですから。全員のNKを合わせても私達の3倍もいきませんよ、多分。>
<何か、聞けば聞くほど絶望的なんだけど…>
<私もそう思います。それでは、ここは撤退しますか?>
<…>
ボシュウウウウウウウッ。
<…>
<…じゃあ、あんたは戻って、小英やプオ達の様子を見て。私はここで粘るから。>
<そうですか。それでは。攻撃お願いします。>
<えっ? ちょっと!>
シュウウウウン、プシュウッ、プシュウッ。
炎が途切れると同時に、知らない内に大分前に進んでいたアリーザが黄緑色の光を放つ。炎がすぐに彼女に向かって放たれる。
<…>
しばらくそれを見ていた宏子は頭を上げると、通路跡から建物の外に出て、真右の方向に走り出した。


砂をかぶった小さな岩で埋め尽くされている荒地を宏子は歩く。ここも埃は立っているが、建物跡の内部に比べれば大分視界が効く。
プシュウ、プシュウッ。
時折宏子に向かい攻撃弾が撃たれてくるが、炎はここまではやってこない。宏子は倒壊した本部の壁の影に隠れ、アリーザの方向を伺いながら腕端末を操作した。
−推定魔力はMK1230ね…だからどうなるんだ、えー…ウチらを引いて900位?
端末の表示に軽く目をやる宏子。宏子は魔力反応の強い方向に目を向け、イハッジャを構えた。
防御魔法を解除する宏子。宏子は両目を閉じイハッジャを上に掲げる。
<…気律の力を、我の頭上に。フィア・ディシュ!>
シュウウウウウウウウウウウウウウン…。
イハッジャの数センチ先の空中から赤い光の球が生まれ、それはみるみる内に巨大化していく。宏子の目の前で直径十メートル以上に膨れ上がったそれは、炎の放たれてくる先に進んでいった。
シュウウン、ボシュボシュボシュウッ。
すぐに宏子の所に反撃の攻撃弾が飛んでくる。防御膜を張りながら端末の反応を確認する宏子。
−おしゃっ、半分近く減ってる!
宏子は無言でガッツポーズを作ると、攻撃が集中しだしている今の場所から移動を始めた。
ボシュ、ボシュウウウウウウッ。
荒地を走り、宏子は先程より敵に近い場所の、瓦礫の影に隠れる。通路跡の中で炎に包まれながらも攻撃を返しているアリーザは、まるで目と鼻の先だ。
−でも、本当に喜んでいいの…? さっきので何人減ってるんだろ…何人殺したんだろ…私、こんな事の為に独立運動を始めたはずじゃなかったのに…。…これだったら、私だけ死んじゃった方がむしろ…。
眉に力の入る宏子。
炎が途切れる。視界が効くようになると、たかだか十メートル程度の距離で、意外なほど宏子とアリーザは近くにいる事が分かった。しかし宏子のいる場所は防御魔法を使わないでも炎は平気なので、敵の火炎放射器はよほど指向性の強いもののようだ。
「…」
鋭い目つきで前を向いているアリーザがステッキを構える。
「…」
アリーザはふとこちらに気付き、軽く微笑んだ。
「…」
アリーザはこちらの反応に、少しだけ眉をひそめ、小さく首を傾ける。いつもの彼女流の不安の表現だ。
宏子は手を震わせ、アリーザの顔を見る。しかし彼女はうまくその思いを念にする事ができない。
アリーザは宏子を見て念じた。
<…どうしまし>プシュウッ。


次の瞬間、アリーザの左肩と、右腰に、直径20センチ程度の攻撃弾が命中する。目を見開き、無言で後ろによろけるアリーザ。


<ア、アリーザッ!>
ボンッ。
左肩と右腰の攻撃弾は小さな音と共に消滅する。体の他の部分との繋ぎ目を失った左腕と右足が床面に落下し、支えを失った胴体が、二ヶ所から血を吹き上げながら落ちるように後ろに倒れていく。
<アリーザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!>
次の瞬間、また周囲は炎に包まれ視界が効かなくなった。


雑然とクザラル製の機材が積まれている、まるで倉庫のような雰囲気の部屋で、壁から出る半固定式のバーチャルディスプレイが波線のグラフを表示している。
視界の上下感覚がおかしい。…いや、単に90度横になっているだけらしい。つまり自分は横になっているのだ。
そう結論づけた私は体を起こそうとした。
<…>
起き上がらない。自分の手足に一切力が入っている感じがしないし、それ以前にそもそも神経の感覚すら感じられない。自分の頭が比較的はっきり回っている事から推測してホクさんの仲間入りをした訳ではなさそうだが、どうやら私は絶対安静の域を脱していないらしい。別に瞑想が出来る状態ではないが、ある意味、この地に付いていない浮遊感はダウナー系のトリップを思わせる。
<…>
しかし、上を見ていてもただの天井なのでつまらない。少しだけ首は動くようなので視界を横に戻す。
バーチャルディスプレイの少し下に黒いものが見える。よく見ると、それは人の髪だ。黒くつやのある短髪。正直もう少しブラッシングに気をつかってもバチは当たらないだろうとも思うが、それを差し引いてもあの単色加減は羨ましい。
その髪の持ち主がふと顔を上げ、こちらにその表情豊かな目を近づけた。
<ア、アリーザ! 私だよ、分かる? アリーザ?>
ええ、もちろん分かっていますよ。あなた程メリハリのあるテレパシーを使う人は他に
<…>
私は念を止めた。というより、私はそもそも最初から「念じて」いなかったようだ。どうやら人にテレパシーを送るだけの魔力も残っていないらしい。
私は口を試す。
「…」
残念ながら口に何かの医療器具が被さっている事に今気付いた。わずかに動かせる事は可能なので、私は「Yes」の口の形になるべく近くなるように、ゆっくりと口を動かせる。
<ア…リーザ…>
私の口に気付く佐藤さんは、そこに視線を釘付けにし、見る見るうちに涙を溢れさせる。
…何となくシチュエーションは分かるが、努力した結果相手を泣かせるというのも随分報われないものがある。一定限度において不快と言っても良いかもしれない。
<アリーザ、ごめん、ごめんね…>
<…>
佐藤さんは私の体にすがりついてきた。好意には心動かされるものもあるが、今の私の状態で無闇に体を動かしたりして大丈夫なのだろうか。体にまるで感覚が無いので、自己判断の出来ないところだが…。
<…>
私がわずかな口の動きだけでどうやって佐藤さんを笑かそうかを思い悩むあいだに、この病室…集中治療室の方が適当か、に違う人影が現れている事に気付いた。顔が見えないが、服から見てHNKのクザラル人だ。
<意識が戻ったのね。>
テレパシーが聞こえてきた。佐藤さんの横に立っているそのクザラル人はシユマさんだ。恐らく、ここは日本のHNKの医療室なのだろう。佐藤さんが顔をシユマさんの方に向け、答える。
<あ、うん…でも、全然反応が無いんだ。>
…それは随分な言い方だ。
<あるじゃん。今、思いっきりアリーザっぽい目つきで宏子を睨んでるよ。>
それも随分な言い方だ。
<え?>
こちらを見る佐藤さん。私は目を天井に向けた。
<…>
<大丈夫だよ。今は魔力、って言うより体力が落ちてるからアレだけど、反応は全部順調だから…ね、マブル。>
<はい。まだ数日はここにいて頂きますが、ちゃんと休めば、全く問題はありません。>
私が顔を向けていた方向の反対、つまり向かって右から念が響いてくる。マブルさんという名前に記憶は無い。文脈から常識的に考えれば、ここの医師なのだろうが。
<問題は無い、って…でも、アリーザは…>
<それは…これから、ゆっくり話し合っていこう。そういうケアの専門家も今度呼ぶから。>
<…うん…>
明らかに納得していないトーンで、佐藤さんはテレパシーを返す。一旦立ち上がっていたのだろう、ボス、と佐藤さんが椅子に乱暴に腰を落とす音が聞こえた。
<私のせいなんだ。アリーザがこんな目に会ったのも、EIMが壊滅したのも、全部…>
そこでテレパシーが止まる。佐藤さんはまた泣き崩れているらしい。
<壊滅って、建物がでしょ? 皆今ここに来てるじゃない、お陰で狭いけど。アリーザだって、こうやって命が助かったのはあなたがいたからだし。>
<でも、…でもっ!…>
状況はまだよく分からないが、どうやら今一番ケアが必要なのは佐藤さんのようだ。佐藤さんのケアというと、必要なものは…
…やはり、口喧嘩の相手か。
ピピッ。
「Taoi la, kasa te eu bajayua asu oso?」
シユマさんの腕端末(だと思う)からコココ語の声が聞こえてきた。シユマさんが怒った様子で答える。
二人の声が英語にならないところを見ると、どうやら私の翻訳機は外されているらしい。
「Tocho eu. Somonuti te edasu tasatasa regu oou a sili.」
「Sasu gea, abaru o ngujagana kenu gonaru.」
「Seden seden. Sumalasu te enu bajayua...」
腕端末から聞こえる男性の声に、呆れ声のシユマさんが返事をする。どうやら彼女は部屋の隅へ行き、小声で腕端末と会話を始めたようだ。
「...Asu? Yega kenu ponai ka bikabiru e!?」
突然シユマさんが大声を上げた。
「Bikabiru ju.」
「Lobo...」
呟くシユマさん。シユマさんは佐藤さんに向けてテレパシーを伝える。
<…ごめん、今聞こえてたかもしれないけど…>
<うんまあ、詳しくは聞こえなかったけど。何、私に何か用みたいだね。>
<うん。…緊急連絡が。>
<内容は?>
<今から、ディスプレイに…>

<…>
そろそろ眠くなってきた。大事な話をしているようだが、どうも最後まで聞けそうにない。

<…行方不明者? EIMに?>
<うん。>
<死体がまだ見つかっていないって事? でも、四人だけだったし、全員確認してるよ?>
<…もうちょっと下を読んでみて。>

眠気は暴力的なほど急激に増大する。私は素直に目を閉じる。あらがってどうなるものでもないだろう。今、話を聞いたところで、私に何かが出来る訳もない。
内容が全く気にならないと言ったら嘘にはなるが…。

テレパシーが途切れ途切れに響いてくる。
<じゃ、…>
<…が…プオラギイ…見て…が…>
<…っ!! だっ…>
<いない…端末…表示…>
<プオ…私…てっ!>
<…表示…>
<……そんな!…>
<…>
<…>
眠気に打ちのめされた私は、そのまま深い眠りの世界に戻っていった。

続く



Written by FML (AKA Franken).
Ver. 1.00 on 2002/11/20.

<今回から出演させていただく事になりました、バデリヌワです、皆さん、よろしくお願いします!>
<…>
<…あの…>
<何だ? 見ての通り、私は今化学の勉強で忙しいんだ。無駄話だったら後にしてくれ。>
<あの、無駄話じゃないです! これ、次回予告です!>
<…あんた、何であんたと私がここに出てるか分かってるのか?>
<え? な、何故でしょうか…?>
<もう人材が無いんだよ! 主要キャラが全員大変な事になってるから次回予告なんかやってられないんだ! 分かるか? だから脇役の私らがここの担当になってるんだぞ。このままじゃ地球よりも先に次回予告の方が存続の危機なんだからな。>
<はあ…>
<…そんな状況で、何であんたも今時こっち側に来た? 絶対人生の選択を間違えてるぞ。モニクの所に行っておけば良かったんだよ。いや、今からでも遅くないからそうしたら良い。>
<そんな事はありません! 絶対に、正義は勝ちます!>
<…まあ、何でもいいから向こうでやってくれ。私は今、元素表を覚えてるんだ。>
<そんな…あの、次回予告は?>
<え…? えーと、次回の魔法少女宏子は第17話で「魔法少女のクザラル星旅行」。って、また行くのか? まあ、私達はクザラル「星」じゃなかったけど…>
<私達は勝ちますよー!>
<…っていうか、私達が行った時はサブタイトルになってないっていう辺り、何か扱いに差別的なものが…>
<勝利ーっ!>



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