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前回のあらすじ:
その星の空気や重力は、地球と同じ環境らしく、宏子は宇宙服等をつけずにその場を歩いている。
そこは何も無い。ビーチのような白い砂地が延々と地平線まで続くが海は無く、夕焼け時のようなオレンジ色の空が一面に広がっている。
「美耶! 無事だったの!?」
宏子の前に、普通の黒いコートを着た美耶が立っていた。
宏子は美耶の肩を揺らした。
「あんた達、美耶に何をしたのよっ! 答えなさいよっ!」
「さっきからひーこは、こっちに質問ばかりだね。」
体を揺らされたまま、美耶は笑う。
「まずは挨拶から、始めようよ。ひーこ、改めまして、ようこそ、私達の星へ。一応これでもあなたの事は、歓迎しているつもりなんだよ。私達緑色生命体は。」
宏子は鋭い視線を返す。
「あんた達が元凶なんじゃないの、緑色生命体さん。」
宏子は美耶に顔を近づけた。
美耶が微笑む。
「もうひーこは、ここから逃げる事は出来ないよ。幸田美耶同様、私達の意識の一部に取り込まれる以外に、未来は無いからね。」
テントの下で円陣を囲み、リジュワナ達が話し合っている。リジュワナはジュチャの方に向き直り言葉を続ける。
「とにかく、もしかしたら何か起きているかもしれないって、彼女が感じたそうだから……」
リジュワナは自分の言葉に息をのみ、改めて回りを見た。
「…彼女?」
「彼女って誰だよ。何か起きている、ってさっきからうるさく言っているのはお前だぞ。」
「…ええ、そうね。私がさっきから気になっている事なのだけど…」
リジュワナはプオラギイックに頷く。
「…私だったかしら?」
「…」
背中に何かを触らされているかのように宏子はもだえ、両腕を抱えながら前かがみになり、歯をくいしばる。
「くうっ、くっ、ううううう、ううっ、ううううううううあああああっ!!」
「とにかく、彼等もまたクザラル人同様、自分達の科学技術や魔法の力をどんどん高めていったんだ。彼等の「安保戦争」の中でね。つまり…」
美耶は笑顔で自分の両手を合わせる。さっきまで読んでいた本はどこかへ消えたようだ。
「私達は、両方の社会の発展に大いに貢献した、っていう訳だよ。」
05宇宙船の中で、05生命体がリジュワナとプオラギイックに説明している。
「緑色生命体のせいであると考えれば、理解はしやすいですね。彼等の魔力ならこれ位の事は出来そうですから。」
「問題は、理由ね。何故彼等がそんな事をするのかしら?」
「さあ…行動の理由位、彼等にまともな答えを期待出来ない質問も無いでしょうから…」
05生命体の言葉にプオラギイックが肩を上げる。
「じゃあ、行って彼等に直接確かめるしか、ないんだろうな。」
顔を向けるリジュワナ。
「行って、って?」
「そのままの意味だが?」
「…」
「…」
「本気!?」
「本気ですか!?」
リジュワナと05生命体は、同時に声を上げた。
「ひーこ、ひーこは体こそ地球人を元にしてるけど、魂は緑色生命体なんだよ。今まで気づかなかったの?」
「知ってる?」
宏子は不敵に笑った。
「私はね、今まで一度も自分が「魔法少女」だなんて認めた事はないし、今も認めてないんだよ。はっきり言ってあげる。私は、魔法少女なんかじゃない。」
「…」
普通の暗闇の宇宙空間を、三角形に近い形の赤い宇宙船と、黒い円盤とが、それぞれ数隻、群れをなして飛行する。その後ろから、それらの船よりはかなり大きい黒い棒状の船が、2隻追ってくる。
サクコブ船から青い波状の光が発射される。散り散りになるクザラル船と05船。波の一部が、クザラル船の一隻をかすめた。クザラル船から火花が散る。
「だあっ」
船内が激しくゆれ、プオラギイックはコンソールに突っ伏した。
30a0は羽をバサア、と上げてみせた。
「系魔法だと思っていたのが間違いだったのです。緑色生命体は時間を逆行して、私達を一体ずついなかった事にしています。以前の戦闘で死んだり、そもそも産まれなかったり。そういった事をした時点で、いないという事が「事実」になってしまいますから、通常の魔力反応で何も出ないのは当然だったのです。」
「こちらはファファイビ・ドゥサ防衛隊第9部隊所属、ジョダダポソサ号の艦長、フペダ・ジャジャチャです。そちらの佐藤EIM代表からの通信を解析させて頂きました。只今、フィキチュアジ本社との協議の結果、彼女の通信内容は信頼に足る、との判断が出ましたので、フィキチュアジはあなた達と臨時共同作戦を取る事に合意します。もちろんその間は、私達の間の安保戦争は一時休戦、という事で。」
目の前に白い惑星がある。そこへ05と、クザラルとサクコブの宇宙船が何隻も向かっていく。光の口は次々と開き、そこからまた無数の宇宙船が現れ、後に続いていく。
「待って。宏子の言葉を信じるなら…彼女はまだ、この星にいるんでしょう?」
「…そうだな。」
プオラギイックは画面のジュチャに頷いた。別の画面のサクコブ生命体が破擦音を上げる。
「ここで攻撃をためらっていては彼等には勝てません。犠牲は残念ですが、彼女もそれは分かってくれているはずです。」
プオラギイックは画面のサクコブ生命体に目を向けた。
「そっちの準備はもう良いか?」
「あなた達の準備の完了を、待っていたところです。」
頷くプオラギイック。彼はビュースクリーンを見回しながら、声を上げた。
「全艦、攻撃開始!」
惑星周囲の無数の宇宙船から、一斉に光が星に向かって発射された。
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