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考えるのがめんどいからウソリンクはパス。
めぞんEVA603号室「フラン研の部屋」4万ヒット記念

エバンゲリオン船内で常に鳴っている変な音が、蟻動力ユニットから発せられる蟻の鳴き声である事は意外に知られていない事実である。

ぽよーん。ぽよーん。ぽよーん。
「ゼレンゴン人。戦士の民族、野蛮で攻撃的。連邦とは常に摩擦の絶えない関係。」
ヒデオ・カークは背後でブツブツ言うスネックを苛立って遮った。

「それ位の事は私も分かっている。一々説明的な台詞を言うのは止めてくれないか。」

「…現在当船エバンゲリオン零号機はゼレンゴン帝国と惑星連邦の国境付近を航行中。今の所問題は無いが、常に警戒態勢を保つ必要があるようだ。」

手を振るカーク。
「あーそうそう、その通りだから、後ろでよく分からない潜望鏡風の機械でも眺めててくれ、な。」

「…私はスネック。説明をする事が私の絆。私と、皆との。」

「…気持ち悪いぞ。」

「…(ぽっ)」
何故か急に長大なトサカをしならせるスネック。

「…」
カクカクプラスチックの椅子に腰掛けるカークは頭を振った。
 

ぴぴ、ぴぴぴ。
イヤホンを(頭の上の)耳に付けているドラミ・ウラが首を上げた。もちろん着ぐるみだが、22世紀において着ぐるみはごく普通の格好なのでR。(E電。)
「船長。」

「何だ。」

「宇宙ステーションK2から、通信が届いています。」

「どういった内容だ。」
自分のネイルアートの模様を眺めながらアンニュイに聞くカーク。

「その…第一級救難信号です。」

カークは血相を変えて立ち上がった。ブリッジに緊張が走る。
「第一級だって! つまり…」

冷静に言うスネック。
「賢也とルミ子ですな。」

「「破滅」、か…」0.0000000001秒でスネックに即効右ストレートを入れながら呟くカーク。
 


―宇宙。それは人類に残された最後の干拓地である。そこには人類の想像を絶する新しい文明、新しい生命が待ちうけていたら楽しいね。これは、人類初の勇み足として、5年間の調査飛行に飛び立ったふりをした宇宙船、USSエバンゲリオン号の驚異に満ちたり満たなかったりする小話である―

元祖えう゛ぁんとれっく
Evan Trek
宇宙犬作戦
 
The Trouble with Mojabbles
「新種トムヤムケールっち」 

 
「ミスター・カトー、最大ワープで問題の基地へ向かってくれ。」

船長の前方の操舵席で、ミスター・ノビタ・カトーはシズカちゃんフィギュアに頬を付けてうっとりーナである。
「はううう、シーズカちゃーん。おりゃはりゅぱーんのびたー」
がすっ

「最大ワープで宇宙ステーションK2だ。」

「りゅ…りょうかい。」
いつものように船長の容赦のない足ツッコミを受けるカトー。
 

「はあ…」

「これはボケふりではありませんが、船長。」

「何だ、スネック。」

「知っているかとは思いますが、あの宇宙域のハルカーン惑星は23年前に起きた連邦とゼレンゴンのベンピヤク戦争以来、常に両者の係争地になっています。論理的に考えれば、恐らく…」

「奴等の便秘薬が切れたという事か。」

「人は忘れる事で生きて行ける…」(TT)

がーん。
「(引用訳分からないぞ!! ボケも突っ込んでないし! 大体何で泣いているんだ!!)」
 
 

「また船長がミスター・スネックに遊ばれているんだビッチ。」
前方の席でミスター・カトーにひそひそ言うドラ・チェコフ。

「…ビッチってロシア語かい?」


蟻さん達の努力のかいあって、エバンゲリオンは無事K2に接近しつつあった。
「ウラ中尉、通信を開いてくれ。」

グーの手でカチ、カチとスイッチを操作するドラミ。
「開きました。」

「こちら連邦のパトロール船、エバンゲリオンのカーク船長だ。状況を説明して欲しい。」

「映像が入っています。」

「スクリーンへ。」

モニタには、元気そうな極普通のオヤジが映し出された。
「来てくれて有り難う。こちらはK2のゴロウ・カツマタ・ルリー所長です。歓迎致します。どうぞいらして下さい。」

通信は切れた。余裕のある所長の態度に、不思議そうに顔を見合わせるヒデオとスネック。
 

ぴぎーいいいんん。
カークとスネックが、基地内に転送で現れた。

彼等の前にはルリー所長と、久保Cozy風(もしくは場外馬券売り場で産湯に浸かりました風)の男が立っている。
小男の方が、愛想笑いを浮かべて2人に会釈した。
「いやあ遠来はるばるおいでくださってありがとう。私は所長の助手をしておりますズルキ・ダービンです。さあさあ、こちらへ…」

「…所長。我々は、ここが壊滅的な打撃を受けたと聞いて、(らぶりぃなパッチワーク作りで忙しかった所を)急行してきたのですが…」

ダービンを無視して苛立たしげに問いただすヒデオに、所長は狐につままれた表情で聞き返した。
「壊滅? ここが? 何をおっしゃってるんですか?」

「さあさ、皆さん、とにかくこちらへどうぞ。」

スネックはヒデオに肩を上げてみせた。

4人は平穏そうな基地内を歩き出した。
 

「御覧の通り、ここは辺境の宇宙ステーションでして、必ずしも満足な設備が整っている訳ではございません。がそれでも緑茶のセルフサービスやトイレ、自販機コーナー、ちょっとした公園、岡山県の観光地図等は完備されておりますぞ。」
基地を案内しだすダービン。

スネックはダービンに聞く。
「ダービンさん、ところで、私達が受信したのは確かに第一級救難信号だったはずなのですが…」

「どうぞこちらへ。」

「…変わった子ね。」
淡々と言うスネック。
 

ダービンに先導されながら、一行は倉庫の前までやって来た。倉庫の前には、連邦の制服を着た男性が立っていた。
「ひさしぶりだなカーク。」

「お、おまえは! …お、お、お…」

目を泳がせながら、隣のスネックをつつくカーク。カークの尻に、指で字を書いて何か伝えているスネック。
「Oh、Oh、ohhhhh…タカシだな!」
どーん。

「タダシ。連邦宇宙次官のタダシ・バリスだ。」タダシは間髪入れずに訂正した。

「そうか、タモリか…何年ぶりだったろうな。」

軽く溜息をついたタダシは話を始めた。
「…第一級救難信号を出したのは私だ。」

「何ですって。」

「そうかー、タモリは今は専門に行ってるのかー。」

声を上げたスネックは、しばらく横でどこかへ旅行中のカークを見てからタダシを追求しだした。
「あれが本当に緊急の差し迫った事情の時だけに発せられるべき信号であるのは御存知のはずでしょう。知らないとは言わせないわ。」

「しかしこうでもしなければ君達はこんな所には来てくれなかっただろう? カークの奴はまたどこかへ違う場所へ飛んでいるようだしな…」

「「あれからー、ぼくたちわあ」…はあい、みすたーまっするでえす。へい、もりたあ! きょうはあたらしいだんさーのこをつれてきたんだあ。かいわさにこしをぬかすぜえ。」

憑かれたようにオーバーリアクションの一人芝居をしているカーク。

「…船長の態度は、「呆れて物も言えない」という意味のジェスチャーです。」
断言するスネック。

バリス次官はおどけた表情を見せる。
「さすが副長はヴァルカスカ人だけあって、屁理屈はうまいようだな。まあ「破滅」の危機でもないのにこんな呼び方をしたのは謝ろう。しかし、実際、緊急事態である事は確かなのだよ。」

「どういった用件でしょう。」

バリス次官はルリー所長に目を向ける。
「実は「ここ」の、目の前のこの倉庫にある物の問題なのです。」
所長はやや申し訳無さそうに言った。


エバンゲリオン零号機に戻った(および現実世界に戻った)カークはスネックの説明に溜息をついた。
「つまり何だ、我々は基地にあるその「トムヤムケールっち」という新種のとんこつスープを、貨物船が来るまでの間警備する為だけにわざわざここ呼ばれたと、そういう事かね?」

「御明察。」

「ふん、馬鹿馬鹿しい。そんな代々木アニメーション学院パフォーマンスドール程の価値も無い仕事などやってられるか。」
エプロンにアップリケを縫い付けながら、頭を振るカーク船長。

「しかし船長、確かにこれは重要な任務ではあると言えますな。この一帯は連邦とゼレンゴンの領土係争地域ですが、ツヅレヤ平和条約により「その惑星でよりうまいラーメンを作った方が領有権を主張可能」であるという事になっていますから。」

「これは連邦を代表する宇宙パトロール船だぞ!! 何故我々がとんこつスープの警備などに駆り出されなければならないのだ。」

「人間は、綺麗なだけでは生きていけないのよ。汚れた時に分かるわ、それが。」

「…とんこつスープに汚れた時にか?」

「しかし船長。確かに副長の言う事にも一里飴あるんじゃないのか。」

船長は声のした方を振り向いた。
「…ドクター。(又無意味にブリッジに来ているな…)」

大きな顔(岩)面に男臭い笑みを浮かべ、ドクターが言う。
「船長、副長。お前達2人に俺から命令がある。休養を取れ。疲れが顔に出ているぞ。」

「ドクターそれは論理的ではないな。私の顔に表情は現れない。疲れなども顔から読み取る事など出来るはずはない。そもそもヴァルカスカ人は…」

スネックを手で制するカーク。
「分かった。確かにドクターの言う事も一里亜鉛だな。それではここの警備がてら、一般のクルーは休暇を取らせる事にしよう。これで文句無いな、ドクター?」

ジャイアンは肩を上げて同意した。


地球の文化をよく知らない宇宙人には誤解されがちな事だが、ドラ・チェコフとドラミ・ウラは別に兄妹ではない。もちろん親子でもないし親族でも恋人同士でもキャブラーでもない。ただ2人とも、着ぐるみが一般的な服装であるプリプリーという宗教の信徒なので似ているように見えるだけである。
しかし同じ宗教の信徒という事もあってか、2人はもちろん良い友人同士ではあった。

久しぶりの休暇にくつろいだ表情(?)で、2人は基地内のカフェコーナーにやって来た。お客はそれほどいないようだ。テーブル席では宇宙人の少女が地球人のウェイトレスと話し合っている。カウンターではマスターと商人が何やら商談をしているようだ。

2人はカウンターまで来てそこのマスターに注文をした。
「タブクリア。…少尉は?」

「じゃあ、僕もそれなんだスキー。」

2人に頷いて奥の装置に行くマスター。装置の扉が開くと、「ぽわわーん」という擬音と共にタブクリアが現れる。
2人の隣りに立っている怪しげな服装の地球人の商人がマスターに言う。
「絶対受けますって! 旦那ぁー、このチャンスを逃したら後はありませんよ。」

2人分のタブクリアを持ってきて、カウンターに置いたマスターは商人に手を振った。
「駄目だ。その値段じゃ高すぎるね。」

「これですよ? 旦那。」商人は懐から何やら毛むくじゃらの小動物を取り出した。

「…ホントやる気しないんだよねー。ったくさあ…何。何そんな面白そうに見てんの。買ったら、俺が喜ぶとでも思ってんの。やってらんねえよなー。」
ちゃんと顔はあるがどうやら手足は無く、全長はせいぜい20センチ程度の毛の丸い固まりのような動物がぶつぶつ言っている。

「か、かわEー!(CCB。)」
カブタックの如く目をハート型にさせるドラミ。

商人はここぞとばかりドラミに聞く。
「お、お嬢さんこの良さが分かるかい?」

「これ、頂けるかしら? ロハで。」

「ははは、何を言っているんだいお嬢ちゃん。これは売り物なんだ、いくらお嬢ちゃんが綺麗だからってタダという訳には…」
商人にじりじりと表情の固定した(当たり前だが)顔を近づけるウラ。

「いただけるかしらあ。」

「あ、ま、も、勿論です。」

「あら、ありがとう。」
商人からその小動物を強奪したウラは毛並みを撫でる。

「…何触ってんだよ。この着ぐるみ女がよう。あー腹立ってきた。おい、晴海の勘違いコスプレ女どもぉ! お前だ、お前!! お前に似合うコスプレは中谷活魚のゴム長ウェアーだ! 分かったか!」

うっとり。
「可愛い鳴き声ねえ…」

「そうだビッチか?」

「ねえ、この動物、何て言う名前なのかしら。」チェコフを無視して商人に尋ねるウラ。

「も、モジャブルといいますです。」

「へえー。」
ウラはモジャブルをいとおしげに撫でた。


びー、びー、びー。(BBB。)

エバンゲリオン船内で急に警戒警報が鳴り響き、赤いランプが点滅しだした。
「一体どうしたんだ。」
自室からブリッジにやって来たヒデオがカークに尋ねる。

潜望鏡風の何やらを覗いていたスネックが振り返った。
「ゼレンゴン船がこちらに接近中です。映像をスクリーンに回します。」

カークがメインスクリーンを見ると、取っ手の部分に3つの突起をつけたおたまのような形の船が近づいてきている。
「防御スクリーン張れ。カンガルー砲準備。」

緊迫した表情で、いつものクルーの代わりにいる予備スタッフ達に命令を下す船長。
 

「通信が入っていますね。」

「スクリーンへ。」

扉の付いた神棚風の零号機のスクリーンには、少し日に焼けて、髭が濃い以外は全く地球人と同じ顔の宇宙人が現れた。
「俺はゼレンゴン船IKS-ヒトミ号の船長キョーボー・コロスだ。」

「「(ヤな名前…)」」

その、どこから見ても変なメイクの地球人にしか見えない姿のゼレンゴン人船長は髭をなでながら話を続ける。
「お前は、確か…連邦のカークだな。噂は聞いてる。中々のクイズ王らしいな。」

「最も長い駅名は「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅だ。」頷くカーク。

「ふっ、さすがだな。しかし何だってお前の船は、カンガルー砲の発射準備をしているんだ? …安心しろ、今日我々はお前達と殺し合いに来たのではない。ただ、少しここのステーションで休養を取ろうと思って来ただけだ。」

コロス船長の言葉にカークはスネックを見た。
「少なくとも向こうの船はカンガルー砲をこちらに向けてはいませんね。」

「そういう事だ船長。ステーションはどちらにも中立だったはずだな?」

カークは肩を上げた。
「警戒警報解除。カンガルー砲発射準備解除。」

「友好的な扱いに感謝しよう。それでは失礼。俺も休みたいからな。」
通信は切れた。
 

腰に手を当てて、「やれやれ」と言った調子でカークは鼻から息を漏らした。
「スネック、表向き警報は解除したが、ゼレンゴン船からは目を離さないでくれ。少しでも何かあったら知らせてくれよ。」

「命令なら、そうするわ。」

「命令です。」

しなっ。
「…(ぽっ)」

「…」


ウラは娯楽室で、クルー達にモジャブル達を見せてまわっていた。
「ベトベトした手で触んじゃねえよ! ったくー…だりーなおい。」

「ほらー、とっても可愛いでしょう?」
ブチブチ言っているモジャブルを手に乗せて自慢気に見せる。彼等の周囲には5、6匹のモジャブル達が置かれている。

「ねえねえ、これ、可愛いでしょう?」

急にグルミーに迫られて、何やら仕事をしていたゴツイ男性クルーがぎょっとする。
「あ、ああ、そうだな…」

ぬっ
「かばじーでご?」

「あ、はい、はい、素晴らしくかわいいでございます。」
「ほ、ほら、何やってんだよ、行くぞ。」

男性クルーは何故かガチガチと震えながらもう一人のクルーに引っ張られていった。どうやら逃げられたようだ。
 

「うーん、こんなに可愛いのに…」

「あ、ドラミちゃん、これ、1個貰っても良いかな。」ウラの周りに集まっていたクルー達の1人が恐る恐る聞いた。カトーだ。
「もちろんよ! そうね、支払いはカードで構わないわ。」
にっこり微笑む(=目のマークが^^に突然変わる)ドラミ嬢。

「ロハで商人から強奪した物を、何を言ってるんだビッチ。」

「よおし、これさえあればシズカちゃんにも…」

「ってここまで言ってるのに何をやってるんだスキー!!」ゴスッ、とグーの手でツッコミを入れるドラ。

「ごぶう。」カトーあっさり殉職(略してかとあっしょく)。

ドラは周囲のモジャブル達を見回す。
「ところで…一匹貰っただけだったんじゃなかったのかいペトロパブロフスクカムチャッキー?」

「え、ええ…何だか知らない内に増えちゃったみたいで…」

「…知らない内に?」
2人はモジャブル達に目をやった。


ノビスケ、ドラ、(生還した)ノビタ達はつるんで、数時間前ドラミがモジャブルを手に入れた例のK2内のカフェコーナーにやって来ていた。
既にモジャブル達はこのカフェコーナーでも数匹ブチブチ愚痴っているようだ。
 
「ういー。可愛いなあ、このモジャブルわあ。」
既に俺とお前の大五郎を勝手に持ち込んでとっても良か気持ちですTAI!のノビスケが言う。

「そうだビッチか? それが普通の感覚なんだビッチか!?」
ノビスケに詰め寄るドラ。

カフェにはいくらか客がいる。旅行者らしき異星人や連邦のクルーと思われる人々が席について談笑している。
 

するとそこに、ゼレンゴン船のクルー達がどやどやとやって来た。例によってヒゲと茶系のファンデーション以外は全く地球人と同じ見た目だ。ただし制服は同一の色で揃えている彼等の方が原色シャツの地球人達よりセンスが良いかもしれないなり。
「おう? ここは随分と地球人臭え酒場だなあ。」
ゼレンゴン人の1人がこれみよがしに言う。コロスだ。

「な…」立ち上がりかけるが、ノビスケに制されるノビタ。

「大将、場所を変えますか。」

コロスは頭を振る。
「いやあ、まあ良いだろ。しかし何だなあ、連邦の奴等は、揃いも揃って喧嘩一つ出来ない腰抜けばかりと来てる。」

ゼレンゴン人達はここぞとばかりに笑う。
「「「「ぐあーっはっはっは、メロリンQ!(訳:おっしゃる通りです。)」」」」
全員で手を乳首付近に持っていきキメ!のポーズをしている。

「「「…」」」
怒りをじっと我慢している風の3人。

「大将」ことコロスはカウンターのマスターからミツカン酢を奪い、気持ち良さそうに飲み干した。
「ぷわっはー。…まあ何だ、あんたらも大変だわな。あんな手芸部出身の船長の船なんて、多分壁中タペストリーだらけなんじゃないのか?」

わっはっは。
「「「「Q!(カルト)」」」」

「な!」
ノビタが立ち上がろうとして、再びノビスケとドラに押さえつけられる。
「だって、我が船長が侮辱されているんですよ! 全くもって事実だけど!」

「押さえろ! 今は…うっぷ、彼等ともめごとを起こすと…っぷわー、ちー、どすん、と言われているだろ?」
ノビタを諭すように説得するノビスケ。彼の頭の中ではかなり論理的な説得が展開されているに違いない。(惜しむらくはそれが消費税分も他人に伝わっていない点である。)

「ってそもそも、ノビタ君は船長を暗殺しようと…」

ギロッ

「い、いや、何でもないんだニジニノブゴロド。」
 

カトーはチャーリーに迫る。
「中佐! ここまで言われて黙っていろって言うんですか!」

「…船長の命令っぽーう。」

「おう? そこのメガネは俺様の話が聞きたくないようだな?」
酢の酔いがまわったか、ややろれつのまわらなくなりだしたコロスはカトーを一しきり見てから、チャーリーに聞く。

「ああ、い、いや、別にそんな事はありません。な、なあ、君達。」
対照的にすっかり酔いが覚めたノビスケ。

頭を振るカトー。
「分かりました。中佐がそこまで言うのなら…」
 
「ぐぽ。」酸っぱい臭いのげっぷを吐くコロス。
「しかしなあ。おめーだも、あんなボロボロの船でよぐ飛べたもんだよなあ。その意味ぢゃ、地球人も結構勇気があるもんじゃないか。」

わっはっはっは。
「「「「カルトキング!(うじき!)」」」」
 

「…な、何だって?」額がヒクヒクと動くノビスケ。
「すまないが、そこの君。…もう1回、言ってくれないか。よく聞こえなかったのでね。」
ノビスケはエバンゲリオンのチーフエンジニアであり、自分の船と蟻の事になると人格が変わる。

「大将」は頷いた。
「よかろう。もう1度言い直すぞ。お前等のエバンゲリオンとやらは、材質は特殊段ボールで動力源は蟻。おまけにコード付きですぐ絡まるし、暴走、故障は日常茶飯事の、どうしようもない宇宙のクズらしいなあ。」

ぐわーっはっはっはah。
「「「「子供ばんど!!」」」」

「そ、そ、そ、そ…」ノビスケがゆっくりと立ち上がり、キョーボーの前に立った。

「何だ、やるか?」
 

「その通りなんだよおおおおうううううううう!!!!!!」
チャーリーはコロスにすがりついて号泣した。

「「「「「うおおおおお!!!!」」」」」
ノビスケと同様、一斉に泣き叫ぶ連邦士官達。

「こんな危険な職場だなんて聞いてなかった!」

「いつの時代もわてらは虐待されとるんや!」

「大体あの副長、気持ち悪すぎるんだ!」
 

うわあああああ。
阿鼻叫喚の連邦士官達。

「うわー」「わー」「きゃー」
急にすがりついてくる連邦士官達にあるゼレンゴン人は一緒に盛り上がって泣いたり、又一方では怖がって逃げ回ったり、即席カウンセリングが始まったり喧嘩になったり愛撫になったり3歩進んだり2歩下がったりしている。

「こ、こら、お前ら離れろ! ああっ、こら、髪を引っ張るな、せっかく朝シャンしてきたのにぃっ!」
叫ぶコロス。

しかしカフェコーナーの騒乱はそう長くは続かなかった。すぐに連邦の保安チームが駆けつけ、連邦側の人間を取り押さえだしたのだ。ノビスケ達は「逮捕」された。


「…さあ、正直に言いたまえ。今なら先生も君達に生爪はいで釘で引っかき岩塩刷り込む程度のお仕置きしかしないと約束しよう。」
ぴしゃ、ぴしゃーん。

ムチを持ち、何故か羽の仮面も付けているカーク船長がエバンゲリオンの一室で、一列に整列させられたクルー達の前をゆっくりと歩いている。よく見ると、船長のニヤリとした口の微笑みがいつもより際立っているのが分かる。

「あれだけゼレンゴンともめごとを起こすなと言ったのに、君達は子供か? チャイドルか? HOLDERか? え? ねずみっ子クラブ? あっそう! …全く、信じられない連邦の恥さらしだ!」

船長は若いロン毛の士官の前で止まった。
「君は、誰が最初に泣き出したか知っているか?」

「い…いいや。」

「ほう…」
隣に進むカーク。
「ああ、チェコフ。君なら知っているだろう? 誰が最初に泣き出したんだ。君か?」

「ノン!(訳:たかじん胸いっぱい!) 僕じゃないですサンクトペテルスブルグ、船長!」

「じゃあ、一体誰がやったのかな?」
パシ、パシ、と持っているムチを自分の手に叩く。

「う…さ、さあ…分からないんだビッチ。」

「「分からない」か…」
陰のある表情を見せるカーク。

「ふっ。仕方ない、チェコフ少尉、残念だが、真実が聞けないようなら君のグルミを取るのも致し方ないかもしれないなあ…」(-,-)

「な、そ、それはピロシキ!!」

「ふふーん、君の中身は一体何さー、ハンサムなガイがいるのかーい。♪ それとももぎたて果実のように、ぷるるん小町にズーム・イン!!(福留!)」
中々良い声で歌いだすヒデオ。聞き惚れるクルー達。
 

ぷるぷる(ぷるるんだと君が思うならぷるるんでも構わないさ、ベイベー。)と震えていたドラはヒデオの歌を遮った。
「だ、だめだニェット!! 僕は知りましぇん!(あなたを守るから!)」

「ふー。」
深く溜息をつくカーク船長。

「分かった、良かろう。今回の事はこれ以上追及はしない。しかし今度こんな騒ぎを起こしたら、…皆分かっているな。私のムチだこは、伊達ではないからそのつもりで。解散!」
「騒ぎ」を起こしたクルー達はようやくカークの尋問から解放された。


休暇のはずが敵のゼレンゴン船が来ているので気が休まらず、おまけに自分のクルー達は醜態をさらしている。自室に戻ったカークだが、縫針の動きも今一つ冴えない。
「全く…こんな精神状態でアップリケを作っても、連邦杯での好成績は望めんな…」

ぴいいいーう。
机のモニタのスイッチを入れる船長。

とんがり耳がモニタに表示された。
「船長、スネックです。」

「ああ、副長、一体何だね。」

「一つ、言い忘れてた事があるんだけど…」
心なしか髪をかきあげ、あらぬ方向を向いているスネック。

「はいはい、何だ。」

「ブリッジに来てくれますか。…中々、面白い事態になっています。」

「分かった、今行く。」面倒臭そうに手を上げるヒデオ。
 

ターボリフトの扉が開き、ブリッジに入ろうとしたカークは一瞬固まった。(そして溶けた。いやーんベチョベチョしてるわあん。)
「な…何だ、これは。」
後方のコンソールにいつものように立っているスネックがフ、と嗤う。

「まさに、神のみぞ」
「モジャブルだらけじゃないか!」
「ふがーーーーーーーーっっっっっっっっっっ!!!」

決め台詞を遮られてトサカを逆立てるスネック。無視して船長席に座ろうとするカーク。
「いでえじゃねえか、てめえどこに目ぇつけてやがる! …っぷあ! …ちっ。」

「…」
カークは、自分の椅子にもあったモジャブルを取り上げて、投げようとした。

ごっ。
「あいたっ!」
横後方のコンソールの席に座っているクルーが自分の目の前のモジャブルを放り投げ、カークの頭に命中。少し涙目になるカーク。クルーは船長に気付かず作業を続けているようだ。
 

ブリッジは椅子にも、床にも、コンソールの上にも、大量のモジャブル達が山積みになっていた。
 

後ろのターボリフトの扉が開く。ノビスケが「うー。」と唸りながら両手一杯にモジャブルを持ってきた。
「いら゛ないから。これ。だめ。機関室は、だめ。(訳:君がたいせーを好きだから、6月26日はマダガスカル独立記念日。)」
どさっ。
座った目で船長をじっ。と見つめたまま機関室から持ってきたらしいモジャブル達を捨てる。

「だめ。飛ばない。船。あの…いたらだめ。(訳:ダメ、ゼッタイ。)」
言いたい事だけ言ってノビスケは戻っていった。
 

「はあ…」肩を落して溜息の船長。
「スネック、いつからこの船は、この妙な動物の運搬船になった?」

いつも通りの冷静な顔でスネックが船長に近づく。
「この船は今でも宇宙パトロール船なはずですが?」

「(お前ら、子供かよ…)」

「…この、ウラ中尉の持ち込んだペットがどうしてこれほど増えたのかは、現在ドクター・マッコイが調査中です。ここだけではなく、K2ステーションの方も大変らしいですね。」

「…ゼレンゴンの陰謀か?」

「何とも言えないわ。」

「そうか。」

「…ハト。」
トサカで影絵を作って見せる副長。


その後も目つきの悪い小動物、モジャブルは爆発的な勢いでエバンゲリオンとK2内で増えていた。

ぴんぽんぱんぽーん。
「5班と8班は、給食の時間です。5班と8班のよいこは、食堂に集まりましょう。給食の時間です。5班と8班のよいこは、食堂に集まりましょう。わるいこは、屋上に行きましょう。ふつうのこは? ナポリを見て死にましょう。」

食事の時間である。食堂には既に何人もクルー達がいるが、ここも既にモジャブルがそこかしこにいるようだ。
「すげえなおい。」
「こんなに増えて、大丈夫なのだろうか…」
「でもきゃわいいぞ。」
「確かに、こんなに愛くるしい動物は今まで見た事が無いけどなあ…」
いくら魅惑的とはいえ、ここまで増えるとクルー達も戸惑いを隠せない(そしてロマンチックが止まらない)ようだ。

カークは食堂の入り口でスネックを見付けた。
「調査の方は進んだか。」

「いいえ、今の所ドクターから特に報告はありませんが。」

「…」
明らかに落胆した表情のカークにスネックは付け足す。
「ただ、面白い話を聞きました。基地にいたクルーの報告によると、モジャブル達はどうやら、ゼレンゴン人にだけは愛想が良いらしいですな。逆にゼレンゴン人達はモジャブル達を怖がっているそうです。」

「何故だ? 彼等は戦士の民族だろう?」

「自称戦士の民族です。だからと言って本当に戦闘的かどうかは別ですね。それに、モジャブルを誤って触ったゼレンゴン兵が失神したという情報も入っています。」

「彼等は生物学的にモジャブル・アレルギーだというのか?」

「それは極めて論理的な考えですね。」
 

スネックの言葉に軽く頷きながらカークは自動給食配膳機の前にやって来た。
「B定食、甘口ネオ。」
扉が開き、中から給食一式のトレイが現れる。ヒデオはふと表情を緩めそのトレイを持ち上げ…

「だりーなーおい。」「ってらんねー。」「っぜえー。」「あ、だめ。ナイナイつまんね。

「そう、良かったわね。」
無表情にカークに言うスネック。カークは口をひきつらせたまま再び固まっている。
カークの持ったトレイの上には、既に彼の給食をたいらげて満腹のモジャブル達5、6匹がゲップをしながら乗っかっていた。
 

取り敢えずテーブルに座るカーク。
「…スネック、私のB定食甘口ネオは一体どうなってしまったんだ。」

返答に少し考え込むスネック。
「…犬?」

「影絵は良いから、質問に答えろ、副長!!」

「彼等は非常に知能が高いですな。どこに餌があるかを良く分かっている。」

「そうだ、全くその通りだな…」
船長は顎に手をやった。
 

「…スネック。我々は現在とんこつスープ貯蔵庫を警備中だったが…」

スネックは頷くと、壁際の通信機のスイッチを入れた。
「副長よりとんこつスープ貯蔵庫。今までに何か異変はあったかな。」

「いえ、副長、特には…」

通信の声に頭をふるカーク。
「信用できないな。副長、行くぞ。」
2人は立ち上がって食堂を後にした。



 
基地の一角、とんこつスープ貯蔵庫に2人は走ってやって来た。ルリー所長とバリス次官も既に来ている。

スネックが貯蔵庫前に立っているクルーに質問した。
「ここの貯蔵庫に、誰か進入した形跡はあるかね?」

「いいえ。」
 
「おい、船長、一体何事だね。」

「それが知りたくて俺の所に来てる…?」

「(無視)今に分かりますよ次官。君、ここの扉を開けてくれるか。」

バリスが慌てた様子でカークに詰め寄る。
「ちょ、ちょっと待て。君、そこを開けたらどうなるか分かっているのか?」
 
「それが知りたくて俺の所に来てる…」

「(無視)開けられると、何か困る事でも?」

「…」
カークの言い方にややむっとしたらしいバリス。

ロック解除に手間取っているらしいクルーの様子に苛立ったヒデオは彼をどかせて自分でロック解除を始めた。
ぴ、ぽ、ぱ。
「ん? 違うな…」
ぽ、ぱ、ぱ、ぽ。

「よし、これで良いはずだ。」
上方の扉に手をかけるカーク。しかし何か詰まっているのか、中々開かない。
「うー、ぐー、ぐーっ…」
 

「おいカーク、モジャブルの構造が分かったぜ!」駆け寄るドクター。

「開いた!」
どさどさどさどさどさどさどさどさずぎゃーばじゃーどさどさばぎゃーじゅーじゃーどさどさどさどさどさどさ、どさ、ばこっどぼどぼどぼどぼどぼどぼどぼどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさじゃばーじゃばーどさどさどさどさどさどさ、ばこっ、どさどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさどさ。
「ぐあーっごぷっ」
開いた扉から落ちて来る大量のモジャブルと、それに比べると少量のとんこつスープとその他諸々の雪崩に遭難するカーク。
 

「…ドクター、何か分かったのかね。」

「…ああ副長、このモジャブルとやらは、一つの個体の中に両方の性機能、更には子供まで生まれながらに持ち、全エネルギーのほぼ全てを繁殖の為に用いる動物なんだよ。」

「それは面白い。それで、彼等の繁殖を止める方法は見付かったのか?」

「これの遺伝子によると、どうやら一つの個体から繁殖する数には自動的に限界があるらしい。」
パッドでスネックに計算式を見せるドクター。
数メートル向こうでは時々顔を出すカークが何やら助けを求めているように見えなくもない。あるいは目の錯覚かもしれない。
 

「…ここの扉は倉庫の底に直結しているから、いずれにしてもとんこつスープまみれになるかモジャブルまみれになるかのどっちかだったからなあ。」遠い目をして呟くバリス次官。

「そうですね。まあ、惜しい人を亡くしました。」
さっきの恨みか、至極冷静な顔で頷くスネック。

「勝手に!ごぷ」ツッコミを入れようとするもモジャブルの大群の海に瞬く間に沈んでいく船長。
「ぷはー! こら、勝手に殺すな! それからドクター、その報告はもうちょっと早く聞きたかった。それから、」
びちゃ、びちゃ。
まだ開いている上の扉から液状の謎の物体がドクターの頭にかかる。あんかけのかかった堅焼きソバ状態の船長。
「うっ…だ、誰かこの扉を閉めて…くれ…」

(死に至らない限界の距離まで)ヒデオに近づいたタダシは息も絶え絶えの船長に言った。
「しかし何たるザマだね。君達は、「たかが」とんこつスープの警備も満足に出来ないのか? この数百のモジャブルを見給え!」

「…数千だろ。」呟くカーク。

「57穣3984イ9242垓612京5615兆7012億2094万3128匹だ。」
訂正するスネック。

「「「「…」」」」

「このドクターの数式にそって1個の個体が24時間後に何個になっているかを計算するとこうなる。」
追加説明するスネック。

「…(ぽっ)」
しなってみるスネック。

「…ハト。」
影絵を作ってみせるスネック。
 

「ちょっと待ってくれ、カーク。何かおかしくないか。」
いぶし銀(ドクター)が眉を上げる。

「何だジャイアン。」

「…そういえば、鳴き声が聞こえないな。」

スネックの言葉に頷くドクター。手持ちのトリコーダーを近くのモジャブルにかざす。
「死にやがってる! こいつもだ!」

兵隊やくざは首を振った。
「ほとんど全部行っちまってるぞ。彼等は遺伝子的にかなり強靭なはずだが…これはおかしいぜ。」

「一体どういう事だ、スネック。」

「そうですね、もし増えすぎたのが原因でないとするなら…彼等の餌に問題があったのでは?」

ゴロウとタダシは顔を見合わせた。


ようやく海から生還したカークは、基地の人間達の前でモジャブルを手に立っていた。
「皆さん、私はついに、この事件の真相を解明しました。」

酸っぱい臭いのあんかけを頭に載せながら、カクカクとした踊りを見せる船長。
「長島アナの名にかけて!!」

「「「「(さっぱり分からん…)」」」」

「犯人はー。」人差し指を口に近づける船長。
「君!」
バリス司令官の頬に指を付ける。

「は? え、いや、船長一体何の証拠が」
「かなー。…ちゃっぴいでちゅぅ。」
かく、かく、かく、かく。

「…」
船長は突然ダンスをやめる。
「サマー・サービスシーン・リミテッドはこれくらいにしましょう。ドクター・マッコイの分析の結果、ここのとんこつスープ、トムヤムケールっちには大量のアサヤミンが含まれている事が分かりました。知っての通りこれは人体に非常に有毒です。」

船長の言葉を継ぐスネック。
「つまり、誰かが毒を混入したのです。モジャブルがいてくれたから分かったようなものの、彼等がいなければハルカーンの、いや連邦全域の市民達に被害が及ぶ所でした。」

「何と!」
スネックの言葉に驚くゴロウ所長。

「で、一体誰が毒を入れたと言うんだね。」

かく、かく。
「次官、ゼレンゴン人から見れば、ここのスープを毒にして、ハルカーンの人々にも被害が及べば、惑星の権利に関する彼等の立場は非常に有利な物になる、これは確かですね?」

「それはそうだが…だからこそ君達を呼んで、ここの警備をしてもらっていたんだろうが!」

「確かに我々は、ゼレンゴン人は警戒していました。しかしここの場所が分かるという事は、誰かこの基地の事情に通じた者が行った犯行だという事です! 即ち今ここにいる、私、副長、ルリー所長、バリス次官のうちの誰かなのです。」

「そんな馬鹿な事が!」

「このモジャブルは地球人には悪態をつきますが、ゼレンゴン人にはなつきます。」
カークの言葉に口を閉じる次官。

「それでは私に近づけてみましょう。」
カークは自分の持っているモジャブルを胸の辺りに近づける。

「はあああ。お前、スマスマが週唯一の楽しみの女並にうぜえな。」
全身から倦怠感を漂わせて船長にブツブツ言っているモジャブル。

「次は副長です。」
カークはモジャブルをスネックに近づけた。
「ったくやってらんねーよなあ…」

所長に微笑んで見せるヒデオ。
「よろしいですか。」
所長のそばにモジャブルをかざす。
「あー、10円玉でその辺の車に「絵」でも描くかぁ? 自転車のサドルだけ取って捨ててやるのも良いなあ。」

ほっとした表情になる所長。

カークはモジャブルを持ってバリスに近づく。
「次官。」
モジャブルは相当機嫌が悪いらしく、その目つきには尋常ならざる悪意があるようにみえる。
「死ね。」
 

微笑んでモジャブルを撫でていたカークは、ふと止まった。
「ってあれ。」

「おい、カーク船長、全員調べたがシロだったぞ。」困った顔でドクターが告げる。
 

その時ダービンが小走りに現れた。
「いやあ、遅れてしまってすいません。少し用事があったもので…」
 
ぽん、と持っているモジャブルを彼に投げるカーク。
「え?」
「よう! 兄貴! 良い体臭してんじゃねえか!! 俺等は兄貴みたいなニコチン臭のする男に弱いのさ。くうぅ、大将って呼んで構わねえかい?」

「「「「こいつだー!!」」」」
「え? え?」
モジャブルを受け取ったまま、周囲を見回すダービン。

ゴロウ所長は慌てて否定する。
「し、しかし、彼は私の助手としてもう数年…」

「いや、彼は今までチャンスを狙ってきていましたが、髭を剃りファンデーションを塗っているだけで、本当はゼレンゴン人なのです!!」

「そ、そんな馬鹿な事が…ダービン、君はゼレンゴンのスパイなどではないだろう?」

「と、とんでもありません、これは何かの間違いで…あ゛ーっ」

「しゃーっしゃっしゃっしゃっしゃっしゃあー!」
どこからか取り出したムチでダービンをしばく船長。

「…お客様を拘禁室へお連れしろ。しゃあ。」
ダービンはクルー達に取り押さえられ、連行されていった。
 

羽の仮面を取って微笑む船長。
「これで謎は全て解決されたな、副長。」

「え? ええ…(今モジャブルが、「体臭が強ければどの人種でも」とか何とか言っていたような気がするが…気のせいだな。)」
副長は頷いた。


船に戻ったカークはブリッジについて船長席に座った。
「カトー、基地から離れる。第二ワープでこの方向に進んでくれ。」

「了解。」

「発進。」
 

ヒデオはふと、不思議そうに周囲を見回した。
当然のようにそこにいすわって、ノビスケと酒盛りをしているドクターに聞く船長。
「あー、ジャイアン。一つ聞きたい事があるんだが、良いか。」

「俺で分かる事なら何でも聞いてくれよ、船長。」
渋すぎる声で答えるドクター。

肩を上げるカーク。
「船に戻ってきてから、1匹もモジャブルを見かけないんだが…いや、まあいなくなったのは良いんだが、一体どこへいったのか気になっているんだ。」

ドクターは古傷をさすりながら眉を上げた。
「それは…ああ、確か機関部チーフのチャーリーの方が詳しいだろう。なあ、チャーリー。」

「(っていうかあんたら何で医療室や機関室に行かないんだよ…)」

とっくりを持ちながらノビスケが目を泳がせる。
「ああ、それなら、副長が御存知だと…うぃっぷ」

「スネック。」
船長の言葉に振り返る副長。

「どうしてそんな事聞くの…」

「素で言うな副長、ちょっと怖いぞ。」

「私はドクターの情報を基に判断を下しました。」
スネックの言葉にドクターの方を向く船長。

「俺は自分の分析結果を知らせただけさ。実行したのはチーフだ。」

「うっぷ。でもその命令を下しのは副長で…」

「あー3人とも。クルー達がお互い謙譲しあうのは素晴らしいが、別に僕は結構可愛かったあのモジャブル達がこの船に1匹もいなくなって、電波を首になった松村並に寂しいだなんていう事はこれっぽちも思っていないから、一体どうしたのか言ってくれ。」
口が口裂けWoman並に引きつりだしている船長。

「「「(やっぱり怒ってる…)」」」
スネックとジャイアンはノビスケの方を見る。3人の力関係がよく分かる光景である。
「あ、その…転送で…」

「宇宙に捨てたのか?」

「いやあそんなとんでもない。ううっぱー。…ただ、彼等はゼレンゴン人が大好きのようですから、その…」

「何だ?」

「向こうの、ゼレンゴン船に…」

「アサヤミンごとな。」
さらっと付け足すドクター。

「…」
カークは微妙な表情で頷いた。
 
 

「船長。確かに船長があの手のラブリーな物に目が無いのは知っていましたが、あれは危険すぎます。船が物理的に航行出来なくなってしまいますから。」

「ああ副長、もちろん分かっている。…替わりと言っては何だが、実はさっきあるクルーから可愛いぬいぐるみを貰ったからな、もう問題は無いさ。」

ほっと胸をなで下ろした様子のクルー達。

船長は立ち上がり、クルー達に快活に告げた。
「カトー、命令変更、最大ワープでゼンレンゴン船付近からずらかろう。…私は自室に戻る。今から、さっき貰ったぬいぐるみの胸に3本ほど釘を打ち付ける作業をしないといけなくなったからな。あ、それじゃ副長、ブリッジを頼んだぞ。」

動きの完全に止まった約3名を載せつつ、エバンゲリオン零号機は最大ワープに入った。

今度こそつづかない
 


次回はナデシコです。
 
ver.-1.00 1998-05/27公開
 
感想・質問・誤字情報・こぶ平刑事・電脳戦隊コブヘンジャー・コブアート等はこちらまで!  

次回予告

のび太はジャイ子の訪問に驚くが、今はしずかもジャイ子も選べない事を彼女に告げる。しかしジャイ子は彼の言葉から彼が自分を子供と捉え対等に見ていない事に気付く。「普段男の子のように振る舞っているが自分も女だ」という彼女の言葉に自分の無神経さを恥じるのび太。ジャイ子はのび太に迫る。近づく唇と唇。しかしジャイ子はふいに倒れる。彼女は熱を出していた。次回「真冬のちびっこ達」第29話、「みつまJAPANにププッピドゥーの巻」。御期待下さい。



 
後書きコーナー

「毎回良く分からない話ですね。」
「あ、出来杉さん。は、始めまして。」
「どうも。」
「あの…扱い怒ってる?」
「いやあ、別に構いませんよ。こんな僻地に出た位で僕のイメージに傷が付く事も無いでしょう。日本で変なCMに出る外タレと同じですよ。ホームグラウンドでの影響は別に無し。」
「あ、そ、それはどうも…(バカにされてるって事ね。)」
「ま、毎回って言ってもまだ2回目な訳ですけど…何だか前回と雰囲気が違わないですか。」
「そう? どこがっすか?」
「うーんそうですねえ…まず、副長が私に敬語で話すようになってる。前は偉そうにタメ口だったじゃないですか。」
「それは…ですね。この話と前のエピソードの間に、船長が副長のトサカを正面から撮った写真を手に入れて、それをネタに敬語で喋るよう脅迫…」
「ほう…」(-o-)
「…う、と言うのは冗談でしてですね、えーっと、そう、あるエピソードで船長が副長の命を救ったり何だりあって。」
「何だりねえ…」
「え、ま、まあ、そういう感じっす。」
「ウーラ中尉の名前がウラに変わっていましたね。」
「あ、それは…ええっと、その方が画数的に良いって、言われたんですよ。それで改名して。」
「画数って、カタカナ?」
「え、ええ、ええ、その通りです。」
「彼女も前はタメ口でしたね。」
「えー、それは…それも、あるエピソードで船長がウラ中尉の命を」
「なるほど。…僕は船長って呼ばれるようになったんですね。前は艦長だったのに。」
「(何ちゅうクソ細かい奴…)ああ、それは…ある時、船長の愛称を決めるアンケートが船で行われまして、その時に「アッチョンプリケ」「つりめキャッチセールス」「準エキストラ」「MAICO2010」等々の候補の中から選ばれたのが「船長」だったんです。ほ、ほら、そういうエピソードあったじゃないですかあ。もう忘れたんですか?」
「そ、そうなんですか…(「船長」は愛称じゃないだろ。)」
「え、ええ。」
「私はてっきり、作者さんがTOSを1回も見た事が無いまま前回の話を書いてて、今回は見た後に書いたから、それでそういった色んな違いが出てきた物だとばっかり思ってましたけど…」
「い、嫌だなあ、私だってパロディを書く前はしっかり原作位、その…」
「ほう?…」
「そー、そ、そんな所で笑点今週はこの辺にてお開きという事で…」
「ああ、後もう一つ、ノビスケさんは前回、ノビオって名前でしたよねえ。確か。」
「え、あ、え…そうでしたっけへ?」
「ノビオなんて人物、ドラえもん本編にもドラ大にも全く出ていなかったでしょう?」
「えーっと…あ、これから大好きな「ロストユニバース」が始まる時間だ! うぐっ」
「(作者の首根っこを押さえる出来杉)作者さーん。…えっ、まさかキャストの名前そのものを完全に間違えていたなんて事はないですよねえ。まっさかそんな問題外の間違いを作者さんがするとは…ああ! もしかして、今回の後書きの為に敢えて間違えておいてネタ振りをしていたとか? そうか、そうだったんですね! さっすが、三大エヴァHPの管理人さんは違うなあ。」(^^)
「出来杉さん、相当扱い恨んでますね?」(TT)
「何を言ってるんですか、とんでもない。あれ、偶然だなあ。こんなところに作者さんに似た人形と釘が。」
「うぎゃーーっ!!!」


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御報告御感想御宿泊その他はfranken@mukiryoku.comまで。